【詩作の試作】あいうえお作文 その1
~前口上~
詩を書くトレーニングの一環として、古きよき「あいうえお作文」、してみました。
いくらでも際限なく出来てしまう、愉しき言葉遊び。何の道具も要らず、頭ひとつだけあれば良い、しかも気分転換にも脳トレにもなるなんて、何とお得な遊びでしょう。「おうち時間」を持て余している人にも、おすすめしたい。
何となく思い付いた語を並べるだけでも、一見、詩のようなものにはなってしまうのだから、日本語とは美しく、でもなればこそ、独自の言葉にする事は難しく、難しい事がまた面白く、その魅力ははかり知れない。
この複雑で繊細、偉大なる言語の下に生まれた幸運に感謝しつつ、まさか醜く歪めて使う事のないように、真摯に、自分だけの言葉を模索したい。
1
愛されたいという 祈り
後ろめたさを 笑顔で 覆い
隠した 傷あと 苦しみの痕もすべて
気取られないよう 心を殺す
さよならばかり
知らない間に知り尽くしていた
砂の詰まった重い袋を代償に
背負わされている sorrow
たとえ 血まみれの 疲れた身体でも
手と手 取り合い共に何処までも
何にも縛られない世界へ
逃げ出せたら 抜け出してしまえたら
ねえ 望みは他に無かったのに
煩瑣な日々のくらし
ひびわれた 古い感情に蓋をする
平然と平静のふり
欲して本当に手に入る物などひとつも無いと
街は
みんなが
群がるような
珍しい
物で溢れているけど
やがて 憂鬱な欠乏が 夜を隈なく満たす頃
雷雲は彼方へ遠ざかり
陸を見捨てて
縷々道をゆく流浪の民は
黎明を夢見ながら 路地で孤独に眠り
私は忘れてしまっている
大事な貴方のことさえを
聞こえるのはただ秘めやかに哀愁をのせた――――夜想曲[ノクターン]
……明日の2へ、つづく。
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