のらきゃ掌編×3 その7

 以前Twitterで投稿した習作を一部修正したものの纏めです。

①:きゃっとむかしばなし 金ソーデス

 むかしむかし、ある山に、金ソーデスというソーデスがいました。
 金ソーデスはものすごい力持ちで、相撲をとれば誰にも負けないことが大の自慢でした。

 山に住む動物は、みんな金ソーデスに負けてしまいました。
「のじゃー!」
 狐娘も勝てません。
「クマー!」
 クマだって勝てません。
「だったら、わたしと相撲をしませんか?」
 おっと、そこに新たな挑戦者が現れました。

 挑戦者の名はのらきゃっと。
 べりべりきゅーとなつよつよアンドロイドです。
「相撲なら、わたしも少しは経験がありますよ」
「デス、デス!」
 金ソーデスは、受けて立つデス、と不敵に笑いました。

 はっけよい―――
 金ソーデスが土俵に入りどっしり構えた、その時でした。
「4ショット」
 のらきゃっとは、なんと、金ソーデスに向かって巨大な岩を投げつけたのです!

「デ、デス……」
 金ソーデスは一撃でKO! しかし、これは反則では!?
「え? 相撲って、相手に岩を投げつけて倒す競技ですよね」
 のらきゃっとは真顔で言いました。
 のらきゃっとがそう言うなら、そうなのかもしれません。

 そして、のらきゃっとは続けて山の動物達にも相撲を挑みました。
「4ショット、4ショット、4ショット」
 動物達は全員、あっという間に負けてしまいました。
 山はもうのらきゃっとの支配下です。

 そうして自分のものにした山で、のらきゃっとは山の幸を一匹残らず食べ尽くしました。
 更に残った土地はイムラのゴルフ場にしてはちゃめちゃに儲け、大金持ちになっていつまでも幸せに暮らしましたとさ。

 めでたし、めでたし。


②:きゃっとむかしばなし どぶ北風とどぶ太陽

 むかしむかし、のらきゃっとチャンネルに、北風くんと太陽さんがいました。
 ある日、北風くんは言いました。
「僕、のらちゃんのパンツが見たい」
 太陽さんは頷きました。
「私も見たい」
 北風くんと太陽さんは、どぶねずみだったのです。

 二人がどぶどぶしていると、向こうから美少女が歩いてきました。
 のらきゃっとチャンネルの主、のらきゃっとです。
「TEC TEC TEC TEC」
 独り言を呟きながら歩くきゃっとは、さながら飛んで火に入る猫松。
 北風くんはどぶりと笑い、言いました。
「僕が突風でのらちゃんのスカートをめくってみせよう」

「風よ吹け! イヤーッ!」
 北風くんはニンポのように突風を放ちました。
 戦闘用アンドロイドでも風は避けられず、きゃっとのスカートはブワッと捲れてしまいます。
「夫、スカートが」
「やった、これでパンツが見える!」
 北風くんは喜びました。しかし、
「……あっ!」

「ふう、見られてもいいパンツで助かりました」
 なんということでしょう。新衣装ののらきゃっとはドロワーズを着用していたのです。
 これではスカートが捲れたとしても、一般的には嬉しさ半減!
「ヂュッ」
 なお北風くんは特殊な嗜好のどぶねずみさんだったので死にました。
 サヨナラ!

「次は私の番だね」
 死んだ北風くんに代わり、太陽さんがきゃっとに挑みます。
「力づくで脱がせるより自分で脱いでもらう方が性癖! イヤーッ!」
 太陽さんは余計な告白をしつつ熱波を放ちました。
 あっという間に真夏のような気温になり、ふわふわドレスを纏ったのらきゃっとはたまらず呟きます。
「あつい」

「ほらほら、のらちゃん暑くない?」
 勝利を確信した太陽さんは、どぶりと笑いました。
 しかし、なんということでしょう。
「ゆうちょ」
 のらきゃっとは、ふわふわドレスの腕部分をパージして、涼しげなサマードレス姿になったのです!

「こんなこともあろうかと、夏用コーデを実装しておいて正解でしたね。かしこい!」
 のらきゃっとは自身のさすのらぶりを称え、きゃっきゃとはしゃぎました。
 そして、ノースリーブの脇を晒しながら、くるくると回ります。
「あああああ」
 えっちすぎて、直視した太陽さんは死にました。
 サヨナラ!

 そうして邪悪などぶねずみさんが死に絶えたのらきゃっとチャンネルで、のらきゃっとは全年齢対象のそれはそれは健全な配信をしました。
 しかし、健全なはずの配信には、何故か赤スパが絶えませんでしたとさ。

 めでたし、めでたし。

③:きゃっとむかしばなし 金のランエボ銀のランエボ

 むかしむかし、あるところに、ランエボ乗りののらきゃっとがいました。
 車が大好きなきゃっとは、赤いランエボをとても大切にしていましたが、
「あっ」
 ある日、うっかりおしりしりで弾き飛ばしてしまいました。

 ブクブクブク……。
 おしりしりで弾かれた赤いランエボは、泉に沈んでしまいました。
「なんて日だ」
 大切な車を失ったのらきゃっとは悲しみ、目から循環液を流しました。
 すると突然、泉の中から不思議な声が聞こえてきたのです。
「のらちゃん、泣かないでなのじゃー」

 声の主は、泉に住む狐娘のおじさんの女神の声でした。
「わらわが沈んだランエボを取ってきてあげるのじゃ。だから、正直に答えてほしいんじゃけど」
 狐娘のおじさんの女神は、のらきゃっとに聞きました。
「金のランエボと銀のランエボ、のらちゃんが落としたのはどっち?」

 のらきゃっとは即答しました。
「もちろん、両方ともわたしのです」

「信じてくれますよね、猫松さん」
「のらちゃんが言うなら本当なのじゃ、あっあっあっ」
 のらきゃっとにナデナデされた狐娘のおじさんの女神は、金とランエボと銀のランエボを両方差し出しました。
「いい子いい子です」
「ああああああ」

 そうしてのらきゃっとは、金のランエボと銀のランエボを両方持ち帰りました。
 でも、よく考えたら元々持っていた赤いランエボが一番好きだったので、
「泉の水全部抜いちゃえ」
 のうすじ解決法で取り戻しましたとさ。

 めでたし、めでたし。

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