OSTER Project解説動画の解説 - 「ベースライン事前着地方法」の作り方-前編
この記事はプロの作編曲家OSTER Project(以下OSTERさん)の解説講座にでてくるaug(オーギュメント)の和音を、自分の曲に応用するにはどうしたらいいかを考える記事です。伝説のaug使いであるOSTERさんが自身の曲作りで培った作曲方法の解説を以下の動画でなさっています。
わかりやすい音楽理論講座なのですが、あまりにわかりやすすぎて(自然に音が流れていくので)一体どうすれば自分の作曲に応用できるのかが初見で私にはわかりませんでした(泣)
aiko大先生にも曲をおろしているほどのaug使いであるOSTERさんは何種類かのaugを使い分けをしていると思われますが、その中でもこの講座の後半にでてくる「ベースライン事前着地方法」を分解して考えて、自分の曲に応用できるように試みます。
なお、今回は結論とリクツのところを書きます。OSTER楽曲での実際の使われ方、オリジナルコード進行でのアレンジの例等は後編の記事で解説いたします。
(筆者はしがないサラリーマンであり、楽器も理論もズブの素人です。音楽のプロじゃないから書いてあることが全部あっているとは限らないですすまぬ)
結論
「ベースライン事前着地方法」は、「ドミナントモーションしているV7を裏コードで置き換えて全音下のaugをテンションノートとして上に乗せる」とできる。
例えばこんな感じ。
<OSTERさんの解説動画1:27 ~ 1:32>
↓この流れにaugを入れてオシャンティにしたい
|C |C7 |FM7 |FM7 |
↓OSTERさんっぽさがむっちゃでるaug化(二小節目)
|C |Eaug/F# |FM7 |FM7 |
二小節目の「C7」を「Eaug/F#」に差し替えるアレンジが本記事でいうaug化ということになります。
OSTERさんの「ゆるっと」な解説語彙にのせて一つずつみていきましょう。
ドミナントモーションってなに?
何かのセブンスコードから五度下のメジャーセブンスやマイナーセブンスへうつるコード進行
OSTERさんは和音の完全五度に「マブダチ」ってルビふってましたね。(以下動画の冒頭をご覧ください)
マブダチとは五つ音が離れていることですが、この関係は和音同士の関係にも働きます。↓の動画冒頭で「そもそも音楽を聴く気持ち良さって【導入->事件->事件->結末】この緊張があるからこそ安定に移る瞬間の気持ちよさがある!!」とOSTERさんは表現していますが、この事件->解決の流れをドミナントモーションと私は呼んでいます。
「G」というコードから「C」というコードへ進行していますね。このときルートの動きがGからCへ完全五度移動しています。この動きがドミナントモーションです。
だからこれらは全部ドミナントモーション
【例1】
|C7 |F |
【例2】
|Ab7 |DbM7 |
【例3】
|Bb7 |Ebm7 |
OSTERさんの言うこの「事件」のコードがaug化のターゲットとなるコードになります。
裏コードってなに?
同じガイドトーン(=3度と7度の音)を持ち、和音のルート音(=ベース音)を五度圏の正反対の音にすり替えた和音
早い話が、G7の裏コードはDb7であり、CM7の裏コードはF#7です。
(この言葉はずいぶん昔カジュアルなポップスの理論書で見かけた用語でして、おそらく正式な音楽用語ではないんじゃないかな・・・)
ガイドトーンとはその和音の3度と7度の音をさすのですが、今やりたいaug化にはぶっちゃけいらない(裏コードのルート音さえわかれば事足りる)ので解説は省きましょう。
五度圏とは12の長調あるいは短調の主音を完全五度上昇あるいは下降する様に並べて閉じた環にしたもの。以下が五度圏の図解です(Wikipediaより引用)
ここで大事なのは五度圏の特性や意味ではありません。単純にどの位置になんの音があるかです。
「C」の音の裏は正反対な位置にある「Gb/F#」になります。「D」の音の裏は「Ab」ですね。
「ベースライン事前着地方法」のやり方
ここまでの説明がわかれば、あとは組み合わせ次第でなんぼでもaugをかっこよく挟めるようになります!
★★★ベースライン事前着地方法のaug化★★★
Step1. 事件->結末の関係のコード進行(=ドミナントモーション)を探す。
Step2. 事件のコードの裏コードを探す。
Step3. 2で判明した裏コードの上に全音下のaugコードを重ねる。
結論の章で出て来た具体例をもう一度見てみましょう。
<OSTERさんの解説動画1:27 ~ 1:32>
★1 : ↓この流れにaugを入れてオシャンティにしたい
|C |C7 |FM7 |FM7 |
★2 : ↓OSTERさんっぽさがむっちゃでるaug化(二小節目)
|C |Eaug/F# |FM7 |FM7 |
<Step1. 事件->結末の関係のコード進行(=ドミナントモーション)を探す>
★1ではC7->FM7が事件->結末の関係(=ドミナントモーション) になっていますね。ここの事件コードであるC7がaug化のターゲットとなるコードになります。
<Step2. 事件のコードの裏コードを探す>
C7の裏コードは?五度圏を見るとCの裏はF#ですね。
<Step3. 2で判明した裏コードの上に全音下のaugコードを重ねる>
F#の全音下はEですね。ということはEaugが上にくる。
なのでC7をEaug/F#で置き換えてあげれば完成!
OSTERさんの解説動画内の裏コードはどんな感じ?
冒頭にあげた解説動画の最後にでてくる曲を題材にみてみましょう。
1. 動画内1:27 ~ 1:30
|C |Csus4 C Eaug/F# |F |
いろいろやっていますが、要するに二小節目でC7を、三小節目でFを入れてドミナントモーションを作ろうとしてます。C7の代わりにEaug/F#を持って来てるわけですね。
2. 1:35 ~ 1:37
|Em7 |Am7 C#aug/D# |Dm7 |G7 |
Am7->A7->Dm7というドミナントモーションをやろうとしているんですね。
で、A7の位置にC#aug/D#を持ってきている。1も2も両方そうですが、三拍目の裏に入れるとぽさがさらにでますね。
3. 1:46 ~ 1:49
|Am7 Abaug |Gm7b5 Ebaug/F |Em7 Am7 |
おいしいベースラインですねぇ〜。めちゃめちゃ難しそうな見た目をしていますが、やっていることは変わらない。Am7->A7->Em7というドミナントモーションをしようとして、A7の位置にEbaug/Fを入れています。ただ半音階でベースラインを下げるというスパイスを効かせているのでとても綺麗に聞こえるんですね。
最後に:後編へ続く
じゃあお次は「シンプルなコード進行をベースライン事前着地方法を使ってOSTER流にアレンジするにはどうしたらいいの?」というところが気になるわけですが、それは後編で解説いたしましょう。
次回はこのような内容です。
・OSTER楽曲の中でベースライン事前着地方法はどこで使われてるの?
・シンプルなコード進行をベースライン事前着地方法でアレンジするとどうなる?
↓後編記事を投稿しました!↓
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