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今でも遊べるポケモンWWA

2002年~2006年ぐらいに流行したWorld Wide Adventure (WWA)、ポケモンの作品も多数作られました。ネット黎明期の文化なだけあり、ポケモンWWAの情報も例に洩れずすっかり入手困難になりました。最近きっかけがありWWAについていろいろ情報を集めましたが、ポケモンWWAに関しては別件では書かないことになったので、集めた情報の供養として書いています。
※2023/10/04更新:イツカクルキミヘ、雪明りの勇者、チュピーシリーズ追加
※2024/03/23更新:RPGニャ~スのポケモン天国、つきあさ、「その他」節追加


注意書き

  • 敬称略とします。

  • 題材の性質上、著作権面で黒寄りのグレーになるのは避けられません。本記事は「過去のポケモンWWAのアーカイブ化状況調査」が主目的とさせてください。調査にあたり、出典の記載はもちろん、アーカイブされたサイトとWWAがアクセス可能になっているかの証拠としてスクリーンショットをとっています。

  • 一部は作者への配慮としてスクショを載せていませんが、リンクは出所記載で必須のため貼っています。

  • 収録作品の基準は厳密に定めてはいないが、Javaアプレット時代に作成されたものが大半となります。

  • 基本的にはプレイヤー側で、当時WWAを作ったことはないので、制作面でのコメントは多少大目にみていただけると助かります。

WWA Wingで遊べるもの

まるいもの伝説(みずのはどう)

みずのはどうで公開されている作品。作者はひさぶろう。主人公のヌオーがまるいものを集める、というストーリーの作品。実績が実装されており、やりこみも十分。加えてヌオーがかわいい。ヌオー好きはみんなやったことある説に信憑性があるぐらいには出来がいい。
旧まるいもの伝説(2002年)もWWA Wing版が公開されている。
2005年に「果てしなき冒険」が、2007年に「Tume Maru(仮名)」が公開され、2006年にはまるいもの伝説の特設ドメインが取得されたほどだった。またWWAマップパーツ素材(ポケモン素材なし)が公開されていたが、アーカイブが残っていない。「果てしなき冒険」「Tume Maru(仮名)」も再公開されていない。

ヌオーかわいい。なお最終的には攻防1万超えのスーパーヌオーになる模様
旧まるいもの伝説の同じシーン。アイテムのアイコンがWWAデフォルト、ステータスのアイコンがヌオーになっている

天空のサンストーン(ミズノシヅク)

公式サイト公式SNS)2003年に公開され、2022年に復活した名作。作者は伝龍。アイコンの画風とボーマンダ、バネブー、ヤジロン、マクノシタ、サボネア、ヨマワル、ソルロック、ノズパスというラインナップ自体が秀逸。
序盤はぎりぎりだが、隠し要素が多く、2003年当時の紹介通り「隠しを一つ見つけるだけでゲームの進行が有利に」なバランス。

ヨマワルが強くて、序盤はHP管理がぎりぎり

雪明りの勇者、チュピーシリーズ(ゆうぐれの空とネオンライト)

チュピーシリーズは当時よく見られたピチューWWAの1つであり、「チュピーの学校」「ある夏のデキゴト」の2作品が作られた。このうち、後者は第2回WWAコンテスト(2004年)2位となった。
雪明りシリーズはオリポケのアイスが主人公の作品であり、ほかにウパーのラムネ、ヨーギラスのソーダ、マリルのカシスなどが登場した。3作品が公開され、雪明りの勇者は第3回WWAコンテスト(2004年)3位、雪明りの勇者2は第4回(2005年)優勝となった。
オリポケが主人公であるが、登場ポケモンにかわいい系が多く、WWAのシステム自体もポケモン色が薄いので違和感は少なく、コンテスト入賞の実績から当時の界隈で受け入れられたことが窺い知れる。
作者の方はもうWWAを作っていないが、2023年現在もポケモン界隈で活動しており、自サイトで作品のWWA Wing版を公開している。

「ある夏のデキゴト」タイトル画面
「雪明りの勇者2」オープニング

イツカクルキミヘ(スターストア)

第5回WWAコンテスト(2006年)の優勝作品。ピカチュウ、カービィ、オリキャラのシャムが主人公で、カードを使用するコマンドバトルシステム、キャラの間の掛け合い(プライベートトーク)が特徴的。
第6回、第7回コンテストの優勝作品Mystic Memoria、ディアセブンスも同じ作者による。
スターストアは2009年~2010年に消失したが、ゲーム自体は2015年に名作倉庫でWWA Wing版およびJavaアプレット版(WWA Phoenixで起動できる)が公開された。
カードバトルが運ゲー気味、プライベートトークのフラグ立てが難しい(ストーリーを少し進めてしまうと見られなくなる)といった欠点もあるが、ストーリーもキャラも文句なしの良さ。

ピカチュウとカービィの掛け合いがいい味出してる

星の塔※一部のみ

公式ブログ)上記の作品より少し時代を下った、「星の塔」の作品集。サイト消滅ののち、運営者が2018年に一部を再掲載した。
ブログのコメント欄で作者があまり広められたくないとの意思表示をしたので、ここではスクリーンショットを載せていない。
※ただし、再掲載されたのは第一章~第三章の一部まで(過去サイトのアーカイブも参照)。アーカイブはデータがほぼ全滅している。

WWA Phoenixで遊べるもの

WWA Phoenix(2019年開発終了)の説明は公式サイトを参照。

ポケモンアドベンチャー(ポケモン徹底攻略)

あのポケモン徹底攻略も2002年~2004年にWWAを作っていた。主人公はピカチュウ。第2作以降はルビー・サファイア風のパーツが随所にみられる。
ファイナルの難易度が高く、風の部屋であきらめた記憶があったが、調査にあたり再挑戦してクリアした(今は移動速度を下げることで風の部屋が若干簡単になる)。

カナズミシティを舞台とする「ポケモンアドベンチャーファイナル」

ポケモン・ワイド・アドベンチャー(旧POKEMON ETERNAL)

ポケモン・ワイド・アドベンチャー / ポケモン・ワイド・アドベンチャー2
実は遊べるか微妙(CGIによるマップ遷移を使うので、Phoenixで起動するとセーブデータが読み取れない)で、Javaアプレットを起動できる環境の用意がほぼ必須。
今はサイトのトップページからたどれないので、生きてるよーというデータも兼ねて直リンクを置いておく(WWAのデータと画像自体はアーカイブがほぼそろっている)。
なお、ポケモン・ワイド・アドベンチャーの隠しダンジョン(裏)をクリアすることで「PWAサウンドトラック」(PWAのBGM集・15曲)がダウンロードできた。現在はPWA2サウンドトラックとともに無料配布されている。
ポケモン・ワイド・アドベンチャー2は終盤の「空+自由行動」マップまでプレイできるものの、その次の火山マップとラストダンジョンが未完成である。

天空の王国(ミズノシヅク)

サンストーンと違い、こちらは公式には再公開していない。
アーカイブ版(gifdat)が残っているので、ローカルで環境を整えば遊べる状態。
作者の方は2019年時点でデータを持っている(作者のツイートより)とのことなので、 WWA Wing版は今後に期待。
素材として配布されたことがあり、アーカイブで現存する(後述)。

アーカイブ版のデータをローカルで起動した様子

もう遊べないもの

WWAの.datファイルが自動でアーカイブされないため、サイトが消失したものはほとんど遊べない。

ピチュピチュシリーズ(じゅうまんぼると)

じゅうまんぼると:初代2代目3代目4代目サイトアーカイブ

ピチューWWAの元祖であるピチュピチュシリーズ。2001年10月にサイトが作成され、2002年までにWWA作品が制作された。『ピチュピチュピチューな空の旅~最終章~』は2003年初ごろに「ミュルフさまの力を借りて、現在作成中です」とされたが、完成しなかった。
サイト自体は2度の移転を経て、ミズノシヅクでのお知らせ(2005年4月2日)によれば、2005年3月31日よりアクセスできなくなっており、「かなりの人気サイトだった為にサーバーに負担を掛けすぎ追い出されてしまいました」とのこと。同年9月に移転して再開したが、2006年2月を最後に更新されなくなり、2014年1月~2015年4月に消失した。わずかに貰い物の.datが1、2作品ぐらい残っているが、遊べるかは未確認。
全盛期はポケモンを検索するとじゅうまんぼるとがトップだったほど、というツイッターでの証言がある。
※覚えていない人向けのキーワード:ピチュー・ピィ・ププリン、でかいサッカー、謎の埴輪


らいらんど(アイスセンター)

らいらんど(2009年のサイト閉鎖後)

主人公はライチュウのらいちゅん。2005年まで更新されていた。数度のリニューアルを経て、2009年3月ごろにサイトが閉鎖されたときも公開が継続した。同年末よりらいらんど2のβ版がテスト的に公開されたが、2010年3月より休止、2011年~2012年ごろに消失した。
※作者本人は健在であるが、らいらんどについて公開している形で触れていない。

RPGニャ~スのポケモン天国(ポケ天RPG)

かなり丁寧なシステム紹介(アーカイブ

1999年~2000年にシナリオ#1から#4まで公開された、ポケモンWWAではかなり古参の作品。作者はJIN。主人公はニャース。遊ぶにはパスワードが必要であり、クリア時に次のシナリオのパスワードが表示される。当時大人気を誇ったゲームで、個人の攻略サイトまで作成された。
2003年10月に更新が停止し、少なくとも2009年まで跡地としてアクセスできたが、2011年までにドメイン有効期限切れとともに消滅した。

タイムトラベルシリーズ、OnE HouSe(クリスタルライト)

アーカイブより)

ピチューが主人公のシリーズで、2003年~2007年に制作された。作者はトゲ。ジオシティーズサービス終了とともに消失。2011年にパソコン故障でデータが取り出せないとのことなので、連絡をとっても絶望的だと思われる。
※作者本人は健在であり、現在は別名義・他分野で活動している。

マナフィと赤いジラーチほか(つきあさ)

『マナフィと赤いジラーチ』『セレビィときわたり』『ジラーチと願いの丘』『マナフィと赤いジラーチ2』『イーブイとエムリットと天空世界リアーレ』の5作品が公開された。作者は月夜。主人公はマナフィ、セレビィ、ジラーチ、イーブイで自作アイコンを使用している。作品ごとにあらすじとイメージ画像が公開されており、こちらは現在でも閲覧できる。
2006~2008年に公開されたが、WWAのみジオシティーズに置いているため、サービス終了とともに全滅した。アイコンやイラストの質が高いだけにもう遊べないのが惜しい。
なお、作者は健在であるが、現在は別名義・他分野で活動している。

『ジラーチと願いの丘』のイメージ画像

素材

老舗は大抵アーカイブ入り。主人公用画像は特に少なく、ポケモンWWAの大半でピカチュウ系統・ププリン・ピィが主人公を務めた理由は素材の少なさである。
流行した時期が時期のため、モンスター画像はジョウトまでが大半であり、ホウエンも揃っていたが、シンオウあたりからは急に選択肢が減る。一方、BGM・効果音は当時でも汎用素材が使われ、ポケモン関連はあまり見られない。

みゅうはあと

掲示板の数は圧巻だった(アーカイブ

交流コミュニティが盛んだったみゅうはあと。2003年4月を最後に更新停止、2005年に大規模な荒らしがあったが、素材のお部屋(利用条件も同ページ)は2011年11月ごろにドメインが切れるまで提供されていた。WWAで使うのにちょうどよい32x32サイズのアイコンがポケモンごとに1、2種類あり、モンスターアイコンとして適当に使っていける。
主に金銀までのポケモンアイコンが提供されているため、ポケモンWWAの大半でカントー・ジョウト(+ホウエン数種類)のポケモンしか登場しない理由となった。
この記事の冒頭にある画像もみゅうはあとのアイコンを利用している。

じゅうまんぼると

ピチュピチュシリーズで使われた、ピチューの主人公用アイコン
最終章のピチューアイコン。こちらも素材として配布された

数少ない主人公アイコンとしてWWA用素材集にピチューが提供されている。ポケモンWWAにピチュー主人公が多いのはほぼ素材の少なさが理由。
ネタバレ防止のため、ピチュー以外はゲームクリア後に表示されるパスワードを入力してアクセスする形になっていた(もう遊べない現在ではアーカイブを検索すれば見つかる)。素材使用の条件は素材集ページを参照。
前出の通り、サイト自体は2014年1月~2015年4月ごろよりアクセスできなくなった。

アイスセンター

ライチュウのアイコン数が圧巻。この下にライチュウアイコンが10行ぐらい続いている

WWAコンテスト優勝記念として「サラサの風」が公開され、素材としても配布された(アーカイブ)。同時に配布されたカービィ素材はアーカイブに残っていない。このほか、らいらんどシリーズのうち数作品の画像が配布されたが、アーカイブでは「VSゴミャー」のみ現存する。

Meganium Park

今はホウエンポケモン14種類しか残ってない

3世代までのポケモンアイコンが多数提供されていたが、現在は旧サイトのアーカイブに上記14種類がダウンロードできるのみ。利用条件もアーカイブ参照(2004年6月に「ゲームに使用するのはやめた方がいいと思います」が追加された)。管理者はふさこん(移転後の名前:ケイジュ)。
2005年4月9日に移転、同年8月までにアイコン素材が公開終了した。のちに数度のリニューアル・休止を経て、2023年6月より再開(別名義・WWAと素材関連はなし)。
※再配布として想定されていないでしょうが、ポケモン・ワイド・アドベンチャー2のアーカイブから多くをサルベージできる。

ポケフォト/ミズノシヅク/ミズノシズク

タイル系は和風、ポケモンはエスニックな雰囲気

旧サイト(2005年移転・同年末にポケモン関連コンテンツを削除)で天空のサンストーンと天空の王国の素材が配布され、のちポケフォトが引き継いだ模様。このほか、スタッフリストにピカチュウ、コノハナ、マクノシタ、サンド、コダックのアイコンが残っている。
旧サイトでの利用規約は「どうぞ自由にお使いください。管理人に断らなくてもOK。」で、新サイトでは特に記載されなかった。
アーカイブには天空の王国のgif/bmpファイル配布が残っている。中身は3世代中心で、ネイティオ、コダック、ソルロック、ピカチュウ、ボーマンダ、マクノシタ、キノココ、ネンドール、タネボー、バネブー4色、サボネア、トドゼルガ、ツチニン、ユキワラシ、マリル、ノズパス、レジロック、レジアイス、レジスチル、および和風な背景が含まれている。
※2022年の天空のサンストーン再公開では素材配布なし

ポケットモンスターズ/ポケフォト

禍々しいクモのアイコンもあるが、ピカチュウやモココはかわいらしい

ミズノシヅクの管理人の別サイト。2002年10月~11月に夢の中シリーズが公開され、のちにポケフォトとミズノシヅクが引き継いでいる。夢の中シリーズの素材はポケットモンスターズ時代のアーカイブが残っている。

ヒトワザ。

ポケモンのWWA素材サイトのうち、現存する数少ないサイト。管理人はあきこ。主人公5種(サンダース、ブラッキー、ホエルオー、ラブカス、アルセウス)、4世代までのポケモン、アイテム多数(3世代模様替えグッズ、救助隊の爆裂の種、4世代初出の半減実など)。

カスクート

管理人はえりー。現存するが、トップページからリンクされていない(2010年~2013年の間に削除された模様)ので、アーカイブ版のみ貼っている。ポケモンアイコン約100種類(1~4世代)。

その他

上記で紹介できなかったものを略記する。

  • Pokemon Discovery:『三日月の女神』(主人公クレセリア)、『the soul of Kiruria』(主人公キルリア/エルレイド)。作者は山岡仁2007~2008年に公開され、現在はWWA Phoneixで遊べる。

  • 静かなる森 ~The quiet forest~:『ピカカの冒険』シリーズ、『氷の世界と2つの秘宝』シリーズ(主人公ピカチュウ)。作者は蕾。2009年に公開され、現在はWWA Phoneixで遊べる。

  • 旅路蒼空(旧称:ぴちゅぴちゅの部屋):『大地の旅』、『ルギアの復活』、『七つの島と虹色の光』。作者は草月リリ、yasupie。イーブイの主人公画像など素材配布もしていたが、現在ではゲーム・素材ともに全滅で、かろうじてWWA用画像が1つと、『旅行』のマップファイルが残っている。

終わりに

20年前の話であり、記憶があいまいなところもあるので、間違いなどぜひご指摘ください。

作品のうちもうネット上で遊べないもので、データを持っている方がいらっしゃる場合もぜひ教えてください(制作者の方は再公開もぜひご検討ください!泣いて喜びます)。

今後やりたいこと:

  • カービィWWA:いつか調べたいですが、ほぼショップ・御過ごししか記憶に残っていなくて、どこが有名だったかすらあまりわからないです。

  • 攻略記事:天空のサンストーンは作者本人が「作った本人ですら全部の隠し要素には行けてません」と発言しており、難しいとされるポケモンアドベンチャーファイナルとともに攻略は一定の需要があるかと思います。


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