Designship2019で学ぶ伝え方のデザイン
こんにちは。ネクストビートの川島です。今回は2019年11月に開催されたDesignship2019での伝え方のデザインに着目してみたいと思います。4ヶ月たった今でも迷った時の指針になるくらい私は心を動かされました。それには何か【しかけ】があったのではと思いまとめてみることにします。(あくまで一聞き手の解釈です🙏)
🎁心を動かされた言葉の数々
🎁「とりあえず形にし現象化してみる。しかし闇雲に失敗するのではなく、致命的失敗を予測し分岐を繰り返すことで『新しい』を生み出す。」
(「失敗こそクリエイション」REDD inc. 代表取締役社長 望月 重太朗)
🎁「デザイン原則その1『迷ったら削れ』複雑さは全く必要ではない。」
(「vitals:デザインの生命線」I&CO 共同創業者 レイ・イナモト)
🎁「ユーザーの想像を超える。ユーザーの期待を超えて、見えているものじゃなくその先の未来を叶える。」
(「月間5,400万人を支えるユーザー体験への想いとその現実」クックパッド株式会社 宇野 雄)
スピーチやプレゼンなど「聞き手にメッセージを伝えること」のゴールは「聞き手の心を動かし行動に影響を与えること」。
伝えたメッセージが聞き手の心を動かすまで
👀聞き手が気になる👀
↓
💡聞き手がメッセージを分かる💡
↓
❤️聞き手がメッセージで心を動かされる❤️
まずは聞き手に「気になる」と思ってもらい、「分かる」を導いて、心を動かす。この流れに沿いながらしかけをみていきます。
▼まずは気になってもらうところから▼
👀「気になる」を引き出すためのしかけ
「新橋の」
?
鄙びた居酒屋で、
👂?
サラリーマンが生中片手に、
『宇宙開発してえよなあ』
と呟きました。
👀👂?
その4年後。
種子島から打ち上げられたロケットには、
僕たちの人工衛星が積まれていました。
....気になる😳!
自己紹介でもなく、挨拶でもない。一見突拍子もないこの出だしは「世界を変える宇宙デザイン ~ブランディングと人工衛星デザイン~」リーマンサットプロジェクト 山下 コウセイさんの登壇でのしかけ。
山下さんのメッセージでもあった「荒唐無稽な想いを実現させてしまえる力がデザインにはある」(Designship2019サイトより引用)を届けるための絶好のプロローグだったと思います。出だしの「なにか他の人と違う!」と思わせるインパクトで、残りの話も楽しめた気がします。
そしてそして、
スライドで印象的だったのが「世界初”を支えるデザイナーが考えること」 popIn株式会社 北村 崇 さんによる登壇。ぜひリンクより実際の北村さんのスライドを実際にご覧ください。プレゼンのスライドというと「見やすさ」「わかりやすさ」を真っ先に重視しがちですが、この個性を出すしかけに親しみも感じました。
▼聞き手の「気になる」を引き出せたら次は「分かる」を引き出します▼
💡「分かる」を引き出すためのしかけ
「月間5,400万人を支えるユーザー体験への想いとその現実」クックパッド株式会社 宇野 雄 さんによる登壇です。しかけは「対比での見せ方」にあると思います。ぜひ実際の宇野さんのスライドをご覧ください。対比を馴染みのあるシンプルなアイコンで示して見せる。という情報を調理した上で聞き手に提示するしかけがあったように思えます。
「分かりやすい」の原点は「分ける」にある
親切な情報発信とは、受け手がしなければならない情報整理という作業を、できるだけ送り手が代行すること
(「分かりやすい表現の技術」藤沢晃治 著 より引用)
ところで、
「情報を伝えるためのデザイン」において、
「伝わる」の反対って何でしょうか?
「伝わらない」?そうでしょうか、
わたしの思う「伝わる」の反対は
無
(株式会社キテレツ 角田 綾佳さんの登壇より引用)
ただ情報を詰め込んだものを見せるだけの「分からないことすら気づいてもらえない」という状況が「無」に値します。このような巧みな情報の調理。
例えば以下のことを意識するだけでも伝わりやすくなるのではないでしょうか。
☑️受け手の熱意は過小評価する・・・基本的にはスライドは読ませない。パッとみてわかるように情報を調理する。
☑️ガイドを設けて全体像を伝える
☑️ほどよい情報サイズにカットする・・・情報処理にはサイズ制限がある、欲張らない、詰め込まない。
(「分かりやすい表現の技術」藤沢晃治 著 参考)
▼最後は聞き手の「心を動かす」ためのしかけです▼
❤️「心を動かす」ためのしかけ
もしかして、「苦手だけど克服した」ことって「強み」になり得るのでは?得意なことを「なぜ」とは考えませんが、苦手な場合、観察したり練習したり、その「仕組み」に気がついているはず
(「イラストや漫画で「伝える」デザイン」株式会社キテレツ 角田 綾佳)
ただ苦労話や過去の功績を披露するだけ、会社や事例を紹介をするだけ、原則を羅列するだけではなく、そこでどんな失敗があり、どんな教訓を得られたのか。経験を具体例として「伝えたい熱いメッセージ」を伝えたからこそ、4ヶ月もたった今でも思い出せるものとして刻まれているのだと思います。
この物語性。実はこのカンファレンスのテーマでもありました。
今の時代、デザインナレッジだけならこうやってnoteに書いた方がいいし、そんじょそこらに広がってるのです。そこでしか聞けない物語があるから、そこでしか会えない人がいるから、デザインシップが存在する意義があるのだと信じています。
というわけで、以下のように目的をアップデートしました。
▼Designship 2019『目的』
物語の力で「デザイン」の壁を越える。
(「Designshipが物語にこだわる理由」より引用)
カンファレンス全体で「心を動かす」しくみがされていたのですね。
▼そしてそして心を動かした聞き手ともっと繋がるために▼
🤝聞き手と相互に繋がるしかけ
「『日常』を拡張するAIとデザインの話」Ubie株式会社 畠山 糧与さんをはじめ多くの登壇者が取り入れていたこのしかけ。話し手にも聞き手にも余裕をもたらし、その場の質を高めるのだと思います。そうすることで「今目の前のプレゼン」に意識を集中してもらうことが、聞き手にとっての「分かりやすい」に繋がるのだと思います。
いかがでしたでしょうか。カンファレンスも「伝え方」に着目してみると面白いですよね。
ロジックやテクニックだけではなく、どれだけ聞き手目線をもって準備できるか、聞き手に対して親切心を持てているか、聞き手をちょっと楽しませようという気遣いがあるかが聞き手の心を動かすのではないでしょうか。
📌参考資料(全て必見です!)
📌Designship2019
📌Designship2019 Conference Identity
📌Designshipが物語にこだわる理由
📌「失敗こそクリエイション」REDD inc. 代表取締役社長 望月 重太朗
📌「vitals:デザインの生命線」I&CO 共同創業者 レイ・イナモト
📌「月間5,400万人を支えるユーザー体験への想いとその現実」クックパッド株式会社 宇野 雄
📌「世界初”を支えるデザイナーが考えること」 popIn株式会社 北村 崇
📌「イラストや漫画で「伝える」デザイン」株式会社キテレツ 角田 綾佳
📌「『日常』を拡張するAIとデザインの話」Ubie株式会社 畠山 糧与
📌「分かりやすい表現の技術」 藤沢晃治 著
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