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母が亡くなった。
病院を退院して、自宅に帰った、わずか半日後のことだった。
現実はいつも、予想や期待を裏切る。
今はまだ、とても感情が不安定で、なんとか立っていても、時折いろんな思いが襲ってきて、押し潰されそうになる。
この数年、私なりに頑張ってきたけれど、後悔は数えきれない。
つくづく、後悔しない人生なんて、あり得ないんだと思う。
ここにふさわしいことは言えそうにないから、詳細は控えるけれど。
ただひとつ言えるのは、本当に大切な人は、ためらわず大切にした方がいい。
今日と同じ明日なんか、存在しない。
時間とか運命とか、人間の手の届かない領域にあるものは、時に、とても残酷なものだ。
そして、人生で本当に大切なことは、ほんのわずかなことだけなのだ。

母を看取った先生が帰られる頃、雨が静かに降りだした。

今は、ほんとうにつらくて、たまらなくさびしい。
「ゆーっくりな、思い出になっていくんよ」
と、従姉は言った。
たぶん、そうなんだろう。
でも、今は。
思い出なんかいらない。
母に会いたい。

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