#推しマンガ「たんぽぽクレーター」筒井百々子
今、もう一度読みたいマンガです。
30年以上前に某少女マンガ誌に連載されていました。いくつか続編もあります。
当時大学生だった私のバイブルであり、大好きな大切な宝物でした。
世界名作劇場のような可愛らしい絵柄ですが、物語はファンタジーではなく、ハードなSF作品です。
舞台は月面医療都市「たんぽぽクレーター」。
そこに描かれるのは、核兵器や原子炉によって被爆した子どもたちと、彼らの命を守るため、懸命に闘う医師たちの姿です。
可愛らしい絵とは裏腹に、設定は細かく大変リアルで、描かれる世界は、厳しく残酷です。
戦争や異常気象、核兵器、政治的圧力、言論統制、暴動、そして児童虐待。ありとあらゆる暴力に苦しめられる人たち。
犠牲になるのは、いつも何の力も持たない、名もなき人たちや、子どもたちなのです。
表紙に描かれた赤毛のピーターパン、インターンのジョイ。
心やさしい医師の卵のジョイもまた、数々の困難に出会い、苦しみます。「子どもはみんな、大人にならなきゃいけない。」誰ひとり見捨てたくない。それなのに、残酷な現実の前で、命の選択を迫られるのです。
それでも、彼は希望を失わず、あきらめず、懸命に闘い続けます。そんな彼自身が、まわりの人たち─大人も子どもも─の「希望」であり「喜び」でした…。
彼の願いは、叶うのでしょうか─?
「たんぽぽクレーター」「ものまね鳥シンフォニー」「小さき花や小さき花びら」。
ストーリーはハードなのに、シリーズ全体が、やさしくあたたかな空気に包まれています。根底には、いつもやさしい音楽が流れているようです。
これは、希望と再生と、祈りの物語です。
どうか、子どもたちの未来が、この世界の行く末が、明るいものでありますように、と。
30年以上も前の作品とは思えないほど、今の世界とリンクするところが多く、胸に迫る物語。
核の脅威がじわじわと迫る今だからこそ、もう一度読みたい名作です。
筒井百々子さんの本は、ほとんど持っていて、中でもたんぽぽクレーターのシリーズは、私の宝物でしたが、火災で焼失してしまいました。(なので、記憶を頼りに書いています。間違いなどありましたら、ご容赦くださいm(_ _)m)
筒井さんは、作家活動をやめられて久しく、作品はすべて絶版となっているので、古本屋さんでも手に入りません。(ヤフオクなどではとんでもない高値がつけられていますが…)
読みたいけど、読めないのも、非情な現実なのです…((T_T))