全国47都道府県IPOセミナーレポート【第2弾/大阪府編】
こんにちは!「地方から上場倶楽部」の内海です!
全国47都道府県での開催を目指すIPOセミナーツアーの第2回目は7月21日に大阪府編を開催し、株式会社リグアの川瀨社長と株式会社i-plugの中野社長にご登壇いただきました!
【講師プロフィール】
■株式会社リグア(東証マザーズ7090)
代表取締役社長 川瀨 紀彦 氏
[略歴]1976年大阪府生まれ。甲南大学経済学部卒業後、金融サービス業、ホテル再生業を経て2004年に起業。「健康」と「金融」をキーワードにした独自の視点と、財務、人事、教育、企画運営のコンサルティングを強みに、業務効率を飛躍的に伸ばすIT 経営支援サービスの導入、接骨院に対する経営コンサルティングを展開している。2020年3月、東証マザーズ上場を果たす。
■株式会社i-plug(東証マザーズ4177)
代表取締役CEO 中野 智哉 氏
[略歴]1978年兵庫県生まれ。中京大学経済学部卒、2012年グロービス経営大学院大学経営研究科経営専攻修了(MBA)。10年間、求人広告市場で法人営業を経験後、2012年に起業。主要事業は新卒ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」シリーズの運営で、2021年6月現在の登録学生数は22万人を超える。2021年3月、東証マザーズ上場を果たす。
上場企業経営者2名によるオンラインセッション形式というなんとも贅沢な豪華回でした!
大阪に本店所在地をおく2社がどのように上場準備を進めたのか、その共通点と相違点が明らかになりました!
上場を目指したきっかけ
(川瀬社長)
創業から約20年が経ちますが、創業当初は上場という情報すら手に入らなかった。大阪のベンチャー企業で上場している企業は皆無だったでしょう。
自身もまずは事業を確立させることに焦点を当てていました。
6年前にスタートした国民の健康寿命を延ばすという事業は信用が何より大事。社会的信用を獲得するために上場が必要だと思い、上場を目指すようになりました。6年前に上場準備を開始して、約5年かけて上場しました。
(中野社長)
私の場合は2012年の創業時から上場をしたいと思っていました。
掲げたミッションが大きいテーマなので、上場という手段を使って成長を加速させたいとの考えでした。
上場することで得られるのは、キャッシュよりも、信用獲得という側面が大きいと感じています。
大学生と企業のマッチング事業を展開しているため、大学という公的な機関との取引拡大においてはパブリックカンパニーであることは大きな武器になると考えていました。丸5年をかけて上場準備をしてきました。
創業時期や事業内容はもちろん異なりますが、創業当時に上場を検討していなかったリグア社と創業当時から検討していたi-plug社。
上場することで獲得する資金よりも“社会的信用”に重きをおいている点が合致していました。
上場準備は何から着手したか
(川瀨社長)
まず監査法人の決定と証券会社の決定です。
スモールIPOであることもあったのか、すんなり決まりました。
証券会社はメイン銀行からご紹介いただきました。地方IPOならではのルートではないかと思います。
(中野社長)
5~6年前の関西では、証券会社、監査法人はすぐに契約を受け入れてくれた印象です。最近はがらっと状況が変わって受け入れてもらいにくいようですが、証券会社、監査法人はすんなり決定しました。
それよりも、IPO経験者が関西に全くいない状況で社内の管理部をどう構築するか、営業とエンジニアで成り立っていた当社では想像が全くできませんでした。
お二方とも、証券会社と監査法人はすんなり決定したようですが、昨今の上場企業増加の傾向の中では監査法人と契約できない“監査法人難民“という言葉もあります。まず監査法人を決定することは最重要事項といえます。
上場準備中の苦労 -IPO人材確保-
(川瀨社長)
関西にIPO人材がいないんですよ!(苦笑)
弊社のCFOも全くIPO経験のない方です。内部統制もどうしたらよいかわからない中ですので、引受主幹事証券は本当に大事だと思います。
結果的には長い付き合いの知人が管理部でCFOに就任しました。IPOコンサルティングの方数名から彼にレクチャーしていただくことでIPO準備期間中の5年間で知識を蓄えてもらい、上場準備を進めました。
(中野社長)
IPO人材の獲得には苦労しました。
ただ、未経験からIPOした会社も結構あるらしいという話を聞き、創業メンバーのエンジニアのCTOがCFOになるという異例の転身。
さらにもう一人CFOに転身したり、司法担当者、公認会計士を採用し、社外にも上場経験のある人をつけて、、といろいろな観点からフォローできる体制にしました。
ただし、上場準備中のM&Aによって単体での上場から連結上場に変更になったことで難易度が急激に上がり大変な思いをしました。
(川瀨社長)
例えば、東京のIPO人材を採用して大阪に転勤してもらうという手段もありますが、採用コストや報酬の面でも難しい点があるかもしれませんね。
これからIPOを目指す地方企業にむけて
(川瀬社長)
上場することによって事業が成長するという確信やイメージのある会社は、上場後も素晴らしく事業が伸びるのではないかと思います。
昨今の株式上場では、自社にあって他社にはなく市場での需要の高い”ブルーオーシャン”である領域の事業をもっていることが重要だと感じています。
逆に、自社と他社のもつ事業領域に重なりがあり市場での需要の高い”レッドオーシャン”は売上の大きい企業がIPOしているイメージがあります。
上場したことで事業提携もさせてもらったり、事業の話を聞いてもらえたりと、社会的信用を獲得することができたと思います。
いざ上場してもブルーオーシャンがないと大変かもしれず、そういった事業をもつことにこだわっています。
(中野社長)
上場して数か月ですが、上場準備をすることで内部統制やガバナンスの面で組織強化されますし、準備をするだけでも意味はあると振り返っています。
また、上場後は機関投資家や外部に説明するIRの過程で、ビジネスヒントにもなる事業の強みや弱みについて理解することもできていると考えています。
地方から上場することのデメリットは情報が少ないことがあげられますが、メリットとして、目立つということがあります。地方企業同士での提携や人材確保がしやすくなりました。
情報量が少ないというデメリットは地方でのIPOコミュニティに入ったり、東京で情報収集したりという行動で払拭しました。
この他、失敗談や証券会社とのやりとりなど、裏話も満載で、質問も大盛り上がりでした!
が、すべてをお伝えすることは残念ながらできません…
IPOセミナーに興味のある方はぜひ次回12月の沖縄開催にて!
最後に
上場企業数は、東京が1,986社、大阪が432社で、大阪府は東京都の次に上場企業数の多い都道府県ですが(2021年7月現在)、IPOにおける東京との情報格差や人材確保の難しさは上場を目指すうえでの高い壁になっています。
ただ、デメリットは上場“前“や”準備中“に限定されていて、今回のセミナーでは上場”後“のデメリットは一つもあがらず、上場後には業務提携や人材確保、社会的信用の獲得といったメリットがあるとお話しいただきました。
「地方から上場倶楽部」は、これからも全国各地から上場を目指す企業様が一社でも増えることを願いながら、全国47都道府県でのIPOセミナーを開催してまいります!
次回は…地方におけるIPOの状況についてレポートします!
次回もぜひご覧ください!
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