次世代社会の夜明けと人類主義の崩壊


次世代社会の夜明けである生物革命

現代社会の夜明けは情報革命と言って間違いないだろう。現代社会の前時代において人類のほとんどはスマホやパソコン抜きで生活してきた。それが今では日用品隣、必需品とな理、発展途上国の人々でさえスマホなどの通信機器を持っている始末だ。

では、次世代社会の夜明けはなんだろうか?

その答えは、生物工学革命である。生物工学革命こそが次世代の社会の扉を開く鍵だ。

生物工学革命とは?

生物工学革命。

それは人間とインターネットをつなぐインターフェース技術だったり、

人間と豚の遺伝子を混合させて作られたキメラだったり、

障害児の問題となる遺伝情報を事前に取り除いたり、

一般人の赤ちゃんの遺伝情報を改ざんんして能力の高い子供を作ろうとするデザイナーベイビーだったり、

ナノマシンを使って体内活動を監視したり自分の免疫を高めたり、

人間の脳とAIを融合させてしまうという技術だったり、

2次元世界への移住だったり、

生物工学革命によって開発される技術は実に幅広い。


生物の能力を本来持っていた能力から拡張してしまう技術。その技術を開発するのが生物工学革命によってできることだ。

なぜ生物工学革命が次世代社会の夜明けになるのか?

現代まで、歴史上『人間』は『ホモ・サピエンス(人間の学名)』であった。
商品になるものや技術革命に関わるもののほとんどは人間の体外で行われた。
水や食料、通信機器などは人間の体外で作られた。人間の体自身が商品になることはほとんどなかった。
例外は医療である。
そんな医療も基本的に『人間よりも劣ったもの(外傷や障害を持った人間)』を『人間』に戻そうという試みでしかない。(この言い方は現代社会の人間が嫌う言い方かもしれないが耐えてほしい)

だが生物工学革命によって医療は一線を越える。人間を人間以外にしてしまうのだ。それは生物工学革命の一面に過ぎない。



科学は客観的事実を分析するのは得意だが、主観的な経験を分析するのは極端に苦手だ。
人間の睡眠の機能や役割について今でもほとんどわかっていないのがその一例である。
なぜなら科学にとって主観的な経験とは偏りが生じてしまうものなのだから。
必ず客観的なデータを統計的に集めて客観的事実を導かなければいけない。
だがそれが盲点となり、科学は主観的な意識に関する調査を怠ってきた。
だが『人間』それ自体を研究対象にしてしまう生物工学革命後の世界にはそんな前時代の常識なんて通用しない。

生物工学革命によって自然科学による研究対象を主観的意識にまで拡張することができる。それは生物工学革命の一面に過ぎない。


マズローの要求五段階説というものがある。
この説と人類社会の成長は密接な関わりを持っていた。


最初の二段階は生理的要求と安全の要求。
これと関わり合いがあるのは農業革命と工業革命である。
農業革命によって人々は長期的に食料を備蓄できるようになり、工業革命によって生活の基盤となる物質の確保に成功して生活の安全を確保する。


次に社会的要求と承認要求。
情報革命はこの二つの要求を満たすために動いてきた。
例えばFaceBookは人類にコミュニティを提供して社会的要求に応えながら、いいねによって承認要求も満たせるように設計されている。
前の段階の要求を満たすほど次の段階への要求が強まるという傾向がある。
ということは次世代社会の要求は承認要求の次の自己実現の要求ということになる。


だが現代社会において自己実現の要求を担うビジネスは極端に少ない。
そこに突如として参入するのが生物工学だ。
生物工学によって人は、自分が本来持っていた姿を捨てて自分のなりたい姿に自由に変化することができるようになる。
ナノマシンによる監視を応用したAIによる生活の助言から、性転換、不老不死、若返り、新しい体の獲得、などなど。
自分の意識が思い描いた自分の姿と、本当の自分の姿の乖離に悩まされなくてすむ。

生物工学革命によって主観的な姿と客観的な姿は統一され、自己実現の要求を満たすための足がかりになってくれる。それは生物工学革命の一面に過ぎない。

生物工学という次世代の支配技術


生物工学は未知の分野であり未開拓分野である。
しかも非常に可能性に富んだ分野だ。
なぜなら生物工学によって能力を向上させた人間はさらに効率的に自己の能力を高める方法を思いつくことができるからだ。
生物工学革命は一旦革命が起きれば世界を変化させる大革命を起こすことができる。
現代の社会はグレードアップ社会と呼ばれる。車のモデルを新しいのに変えて、新しいけどほとんど新機能の搭載されていない機種を求めるために高い値段を払ってスマホを買う。
だが自分自身の体のグレードアップに際限は存在しない

現代社会において最も勢いがあり、未来がある技術は情報技術であるとされている。だが次世代社会にとって最も勢いがあり未来がある技術は生物工学技術だ。しかしそれは生物工学革命の一面に過ぎない。


生物工学革命の一面はここでは書ききれないのでここまでにしておく。機会があれば別記事でまたまとめようと思う。

生物工学革命がまだ起きないワケ


さて、ではあなたはこう思ったかもしれない。
なぜ生物工学革命によってそんな素晴らしいことが起きるのに、人間社会は生物工学革命を起こそうとしないのか?と。
実際に生物工学に関する研究に投じられている資金は予想されるリターンと比べればあまりにも少ない。

それは、『生物工学』には『人類主義』という厄介な敵が存在するからだ。


まずはじめに、これを読んでいるあなたも、ほとんどの日本国民も、ほとんどの世界人類も人類主義者だ。
なぜなら現代を含めた現代以前の社会は人類主義がなければ成り立たないからだ。

AIには参政権がないし、豚が市場経済に主体的に参入することはできない。

なぜなら人類は特別な存在だから。これだけを聞くと人間中心主義のように聞こえるかもしれない。
だが人類主義は少し違う。
人間中心主義には『人類』は『人類以外』と違いが存在するという前提が必要だ。

人類と人類以外は別物である。そう考えることこそが人類主義なのである。

この人類主義によって生物工学技術は迫害を受け、ナチスと呼ばれ蔑まれてきた。

遺伝子技術によって新たに生まれてくる赤ちゃんを改造するのは非倫理的だ。
人間の遺伝子を持った動物を生むのは非倫理的だ。
神聖な体内にナノマシンやチップを入れ込むことは非倫理的だ。

ところで倫理とは人類社会を成り立たせる上で重要な役割を果たしているものだ。
殺人がどこでも起きてしまえば社会は崩壊する。だから倫理的な理由をつけて殺人を制限する。

同じように、人類社会は『人類』と『人類以外』の境界線をなくしてしまう可能性のある生物工学に本能的な恐怖を感じてしまうのだ。

だから人類社会は倫理という理由をつけて生物工学を規制しようとする


『人類』と『人類以外』は違うというのが人類社会の大前提である。
しかし、生物工学は『人類』を『人類以外』にしてしまう。AIの装着やナノマシンの体内注入、機械との体の交換、果ては遺伝子改造によって人類という種を捨ててさらに強力でパワーアップした種になることや、他人と他人の意識を同調させて『二人の人間の意識』だったものが『一人の人間の意識』にしてしまうことだってできる。
しかも、『人類以外』を『人類』にしてしまう。
AIによって人間と全く変わらない姿を持ったロボットが誕生するかもしれないし、人間とほとんど変わらない人間と哺乳類のキメラが生まれるかもしれない。


「技術はあるのに倫理的問題によって現実に応用できない」
それこそが生物工学革命が起きることを抑えている要因となる。

人類主義の敗北

だが、この均衡はいつか崩れる。

なぜなら、倫理的な理由で押さえつけるには生物工学技術は非常に安価で簡単だからだ。


それでも人類主義者は最後のあがきを見せる。

人類という妄想に固執し、人類というアイデンティティがなければ生きることができない人々が主導する。
彼らは生物工学を非難し、生物工学技術によって改造された人間を迫害する。

それこそが人類主義者の最後の姿だ。

これは国家主義者、ナショナリズムと非常に酷似している部分がある。

国家という妄想に固執し、国家(例えば日本など)という妄想にしがみついてなければ生きていけない。
他の国の人間を非難し、迫害する。

現代社会におけるナショナリストの姿は、次世代社会における人類主義者の姿でもあるのだ。


しかし、グローバル化によってナショナリズムが消えゆく運命にあるのと同じように、
非常に優秀で有能な生物工学を前に人類主義者達が勝つことはできない。

次世代社会の勃興


最終的に、人類は失われ『人類出身』と『非人類出身』の新たな種族が生まれることになる。
人類が失われる。
それは現代人にとっては恐怖のような出来事かもしれない。
しかし、それは現代の価値観で考えているからだ。

次世代の価値観で現代社会を評価したらこうなるかもしれない。
『人類社会は人間が独善的に支配している。それに比べ次世代社会は人工知能や生態系、動物、意識構造などへの理解を深めることで平和的共存と統合が可能になった。現代社会はひどい社会だが、次世代社会は素晴らしい社会だ』と。


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