【社員インタビュー】黎明期からドローンパイロットとして独立!空撮・測量・点検・物流などあらゆるドローン活用シーンで活躍してきた青木さんにインタビュー【前編】
採用担当の山本です。今回はドローン配送の現場でパイロットとして活躍する青木さんにインタビューしました。ドローンパイロットとして求められる素養やスキル、今後の業界の展望、そして青木さん自身が飛行実績を重ねる中でドローンパイロットとして大切にされてきたことをお伺いしています。前編、後編に分けてお届けします!是非、ご一読ください。
簡単に空中からの写真が撮れる、そして位置情報が付与される。
ドローン空撮の価値を確信して独立へ。
青木さんはドローンパイロットのパイオニア的な存在かと思いますが、そもそもドローンパイロットになったきっかけを教えてください。
2018年5月に独立してドローンパイロットになりました。
小さいころ、ラジコンが大好きだったことや、美術系の大学で専攻は彫刻でしたが、写真もやっていたというバックグラウンドも影響していると思います。
大学卒業後は、すぐには就職せずに、ロサンゼルスに留学、と言いながらほぼ遊んでいました。その後、サラリーマンとして、航空機部品の営業兼、受注後の翼の塗装や組み立てなどの現場監督をやっていました。
独立のきっかけはサラリーマン時代に通ったビジネススクールです。
15年前なのですが、今後どんなビジネスが主軸となっていくか、という討論の中で、当時はこれからはAIだろうと言われていました。
自分はIT・システムには親和性がなく、AIにどんな価値があるかは正直わからなかったのですがAIの材料となる「画像・動画を撮る」ということに、ピンときました。
当時はまだドローンは言葉自体がメジャーではなかったのですが、ラジコンのヘリコプターにカメラをつけて飛ばしている方がいて、有人ヘリコプターやセスナよりもすぐに空中にあがることができるので、これは価値のある写真が簡単に撮れそうだ、と思いました。
ただ、ラジコンには重たいカメラは搭載できません。
時を経て、中国のドローンメーカーであるDJIが日本に進出し、「Phantom 3」という機種に初めてカメラが搭載できる仕様のドローンができました。
その後の「Phantom 4」では位置情報が写真に付与される機能が追加されたことで、これは絶対に価値が付く!という確信に変わりました。
どの場所から撮った写真なのかがわかることで、写真は価値のある情報に変わります。
ドローンでは有人ヘリコプターよりも低空から性能の高いカメラで対象物を撮影することで、石ころ1つが判別できるレベルの解像度が実現できます。
この高い解像度の写真に位置情報(座標値)が加わることで、繊細な地図情報をつくるなど、活用の幅が広がります。
また、通常、航空写真を撮影すると、例えばビルの側面なども写りこみますが、「オルソ画像処理」という技術は、どこからみても"真上"から見える写真を生成することができます。さらに応用し、画像を3D点群データ化することで、ドローンで撮影した画像のみで「3D」モデルも作ることもできるのです。
衛星画像ではここまでの精度は出せないため、あらゆるシーンでドローン空撮の画像は情報としての価値がかなり高まったと言えるのではないでしょうか。
人が簡単に行けない場所である空中にすぐにいって写真がとれること、それを位置情報を紐づけて価値のある情報として提供できるようになったことの2つで「これだ!!」と思いました。
操縦技術だけではなく、お客様の求めることを深く理解したサービス提供できてこそ「プロのパイロット」
独立された直後はいかがでしたか?当時からドローン空撮のニーズがあったのでしょうか。
独立直後は厳しく、最初は営業をしても、「ドローン空撮?何それ?」「そんなのにお金払わないよ」というところからのスタートで、売上にはなかなか繋がらなかったですね。
実は独立するときにはまだ子供も小さかったのですが、家族に黙って会社を辞めたんです。
会社で毎日遅くまで働いていたのに急に18時に帰るようになったので家族にはバレバレでした。
そのうち、不動産屋さんの展望撮影のドローン空撮の依頼が入るようになり、まだ市場が出来上がっていないフェーズだったので、価格決定権はこちらにありました。
案件を1日3件ほどこなし、「これは来たな」と思ったタイミングでマネをする人がたくさん出てきて価格崩壊が起きてしまいました。
参入してくるプレイヤーが増えたんですね。技術的な差はあったのでしょうか。
実際に自分の腕を過信していたパイロットは、事故を起こしていたと思います。
また、ドローンはGPSやセンサーが利いている状態であれば機体を簡単に安定させて飛ばすことができますが、「GPSやセンサーが利いていないと飛ばせない」というパイロットもいました。
私自身は「安全の担保はGPSやセンサー、ドローン機体の性能に頼るのではなく、自分の腕である」という意識を持ち、劣悪な環境でも安定して航行できるよう技術を磨いていました。
独立したばかりで営業に明け暮れていた時期も、毎朝起きたらまずはドローン操縦の練習をしていました。
飛ばすことはとにかく好きでした。それもあって毎日、操縦の練習を続けて技術を磨いていたので、やはり技術は新規参入したパイロットとは技量差はあったと自負しています。
価格崩壊が起きた後は、どのような案件に取り組まれたのでしょうか。
展望撮影は営業していたこともあり、仕事がもらえていましたが、そこまで難しい撮影ではありませんでした。
その頃から「日本初」と呼ばれるような案件に関わることが多くなりました。例えば「新幹線の橋梁点検をドローンで行いたい」、「大手自動車メーカーからの依頼でカープールをオルソ画像化してほしい」、「災害現場の3D点群化をしてほしい」というような案件です。
こうした、「まだ誰もやったことない仕事」はまだやり方が確立されておらず、お客さんにとっても初めてです。運よくそういう案件に携わることができました。
例えば、橋梁点検では橋に近づくとGPSが十分に捕捉できなくなるため、マニュアルモードで操縦しなければいけません。
船に乗りながら、ドローンスパイダーと呼ばれるワイヤーをつないだドローンを使い、マニュアルモードで操縦しながら写真や動画を撮る、というような案件もあり、かなり難易度の高い案件でした。
こうした案件をこなしていった実績もあり、チャンスがチャンスを産み、経験を積むことができました。
難易度の高い案件から身に付いたことはありますか?
「安全の意識」は体にしみ込みましたね。
「頭で考えて」もそうですが、「こう飛ばすなら、ここを気を付けないと・・!」という勘所は考えなくても気づけるレベルに身に着いたと思います。
また、「空撮だけ」「●●だけ」ではなく、ドローンパイロットとしてできることはなんでもやってきました。
「ドローン操縦」だけではなく、「SfMソフトの使い方」「映像編集ソフトの使い方」「撮影のための飛行計画や段取り」などなんでもやり、「ドローン業務」の前後のフェーズまで全て手を出してきました。
操縦が上手いパイロットは五万といますが、「仕事」としてドローンパイロットをして生きていくためには操縦だけでは絶対にだめです。
例えば、測量のためのドローン空撮にあたっては、測量の勉強もすることで、お客様がどういう成果物が欲しいのかを知り、お客様は最終的には図面がほしいのですが、仕様に応じてるためできる限りで成果物に近いものを提供しようという姿勢でやれる範囲を増やしていきました。
橋梁点検も同様です。撮影をするだけであれば誰でもできますが、どういう成果物、どういうレポートが欲しいのかを深く理解してきました。
そこまで考えてやってきたからこそ、パイロットとして飯が食えていると思います。
現在のドローンパイロットで産業系もエンタメ系もやっている方はなかなかいませんが、そうじゃないと食べていけない世界だと、私は思います。
NEXT DELIVERYの運航部統括責任者に。
物流ドローンのパイオニアとしてチームだからこそ目指せる価値提供へ。
NEXT DELIVERYとの出会いはいつ頃ですか。
NEXT DELIVERYには小菅村にドローンデポを出した2021年から関わり始め、ドローン配送サービスの立ち上げを一緒にやっています。
立ち上げ当初はドローンメーカーのACSLさんの「PF2」という機体を使って配送していたのですが、今よりも自動運航ができる範囲が少なく、パイロットがリカバリーしなければいけない領域が大きい状態でした。LTE通信モジュールの技術革新で、遠隔操作が発展した現在と、状況は大きく違いましたね。
今年2023年2月からはNEXT DELIVERYの役員に就任されました。
実は、代表の田路さんにかなり外堀を埋められて役員になりました。
とはいえ、引き受けたからには、100%は当たり前、101%、110%と期待以上の仕事をしていくことが私のこだわりでもあります。
運航の統括をやると決めた以上、付加価値をどれだけ出せるかを常に考えながら、自分ひとりではできないことを仲間と一緒に成し遂げたいです。
一人でできることは限られているのでチームとしてみんなでやることでスピードも出ますし、1人でやる5年後よりも50人でやる5年後の方がより早く遠くへいけるのではないでしょうか。
物流ドローンのパイオニアとして、チームで成長できる組織にしたいですね。
NEXT DELIVERY運航部ではどのような未来を目指していますか?
物流ドローンのパイオニアとして一人ひとりのパイロットが自立できる状態を目指したいです。
空撮や測量、なんでもできる、物流だけに閉じないパイロットを育成したいですね。
部として、ドローン物流以外の案件に取り組んでいく可能性もあります。
まず今年の目標は6人を一等無人航空機操縦士にすることです。
それと同時に、一等無人航空機操縦士はゴールではありません。
一人ひとりが食べていける力をつけられるようになって欲しいと思います。
一歩一歩、プロの集団を築き上げて行きたいです。
後編へつづく
NEXT DELIVERYでは、一緒に働く仲間を募集しております。
まずは話を聞いてみたいという方も下記「応募」ボタンからご応募ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?