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SDGsの日本へのローカライズ

欧州の脱プラへの取り組み

2021年に採択された欧州気候法(通称:グリーンディール)を起点として様々な積極的な取り組みが各国で行われている。

フランスの脱プラスチック

たとえば、2022年ではフランスで野菜や果物へのプラスチック包装が基本的に禁止となった。
長ネギ、ナス、ピーマン、キュウリ、ジャガイモ、人参、トマト、玉ねぎ、カブ、キャベツ、カリフラワー、大根
リンゴ、梨、オレンジ、みかん、キウイフルーツ、レモン、グレープフルーツ、プルーン、メロン、パイナップル、マンゴー、パッションフルーツ、柿

これらにはプラスチックの包装、つまりラップはしてはいけない。とはいえ、上記固形物については、日本でもかごに山積みされてる場合も多く、そこまでセンセーショナルとは言えないかもしれない。
しかしながら、成城石井やIKARIスーパーなど、高級スーパーではあらゆるものが包装されているので、この波が日本に上陸すると、彼らとて対応を変えざるを得ないかもしれない。

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スペインのプラスチックTAX

一方で、スペインのプラスチック税は、物流においてかなりインパクトを与えることになるといえる。
ワンユースのパッケージや包装として、プラスチック製のものを使用する場合含有量1キロ当たり0.45ユーロ課税されるとのことだ。

そもそもパッケージや包装は飾りが目的ではなく、中身の破損を防止するためのものだ。長い輸送に耐えられるように、いわゆるプチプチも、軽く衝撃に強く、壊れ物でも簡単に輸送できるよう工夫の末できた資材だ。
これを例えば、布に変えたとしよう。かなりの重量になる。そしてそれは、輸送コストに影響する。輸送時のCO2排出量も増える。
これでは本末転倒ではないか。

TAX

日本の反応

昨今、プラスチックが悪者とされ、それを削減すると宣言することが環境問題に積極的に取り組んでいるというように見られがちだ。
そして、日本の悪いところは、そんな欧州の先駆者的な取り組みをみて、さてどうするか、欧州でビジネスするならこれをクリアにしていくしかない。もちろん、グローバル展開している大企業が焦るのは理解できる。
しかしながら、日本の大企業が欧州の宣言や取組みにいちいち右往左往するのは見ていて気分がよいものではない。

そもそも、プラスチックに対するポリシーは何なのか?

つまるところ、こういうことなのだ。徹底的に石油由来プラスチックを否定するなら、それは化学に対する否定であり、文明の否定に近くなる。
さらにCO2排出を徹底的に否定するなら、人間の存在すら否定せざるを得ない。
そうではなくて、環境を守りつつ、快適に過ごすにはどうするかをもっと真剣に議論する機会があってもよかったのではないか。
そして、ルールをつくるのは、国連やEUの特権ではない。
日本として、この土地に守るものとしての身近なルールを真剣に語り合う機会もなく、プラスチックが悪いという価値観を十分な納得感もなく、受け入れ、支配されている我々の姿勢がそもそも持続可能ではない。
自分たちのプラスチックに対するポリシーはどこへ?
各企業がSDGsのトレンドに乗ることをポリシーとしているようでは、やはり世界との乖離は進む一方だ。

Policy

日本はグローバルトレンドとどう向き合うか

もちろん、プラスチックの環境汚染物質が排出されること、ポイ捨てされてしまったら分解されず、ただただ地球を汚す。それは良くない。
ただし、それはプラスチックに限ったことではなく、鉄もガラスもコンクリートも、コピー用紙もすべてだ。
SDGs。それ自体を否定する気もないし、地球環境に資することはやりたいと思う。
だからこそ、日本の中で、作り手、使い手、回収する側、全てで話し合う機会。そこで納得して日本の姿勢を示す機会があってもよかったのではないか。
イノベーションの源泉が、高いゴール地点だとするならば、
現在のプラスチックのうち20%を日本で採取できる材料による新素材におきかえる、など、新技術を生むようなゴールをそれぞれのポジションで打ち立てることもできたはずだ。単に「バイオにおきかえる」では、どこからか輸入して終わるだけなのだ。

残念ながら、世界のルールメーカーは常任理事国であり、EUというのも事実。
そこを動かすことはできない。
しかし、そこから発信されるトレンドについて、それに乗り遅れないようにしようとするよりも、
新たな規制、宣言がされるたび、その真意と影響を予測し、日本の産業が伸びるようにするにはどうディレクションするべきか、産業ごとに戦略を考えるべきだ。本当はそれを国ができればいいのだが、難しそうなので、
せめて産業ごとに、上記のような思考で戦略を考えるリーダーの存在が望まれる。
もし、そのような機会があるのなら、積極的な情報交換をしたいと思う。

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