2024年の労働時間管理:法改正と最新事例から学ぶ


2024年、労働時間管理に関する重要な法改正と注目すべき事例が相次いでいます。社会保険労務士として、これらの最新動向を踏まえた適切な労務管理のポイントをお伝えします。

2024年からの重要な法改正

1. 建設業・ドライバー・医師等の時間外労働上限規制

2024年4月から、建設業、自動車運転業務、医師等の業種にも時間外労働の上限規制が適用されます。これにより、これらの業種でも原則として月45時間、年360時間の上限が設けられ、特別条項でも年960時間を超えないようにする必要があります。

2. 勤務間インターバル制度の普及

努力義務ではありますが、勤務間インターバル制度の導入が推奨されています。この制度は、労働者の健康確保と過重労働防止に効果的です。

3. 年次有給休暇の時季指定義務の継続

年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、使用者は5日の休暇を時季指定して取得させる義務があります。この制度の適切な運用が引き続き求められています。

最新事例から学ぶ労働時間管理のポイント

スシロー賃金未払い問題の教訓

2024年1月、スシローの賃金未払い問題が大きな話題となりました。この事例から学ぶべき重要なポイントは以下の通りです:

  1. 1分単位の労働時間計算の重要性:5分未満の労働時間を切り捨てていたことが問題視されました[7]。

  2. 是正勧告への迅速な対応:スシローは複数の労働基準監督署からの是正勧告に対し、速やかな対応を表明しました。

  3. 過去の未払い賃金の遡及支払い:2021年4月から2022年8月に勤務していた従業員にも相当額を支払うことを決定しました。

社労士からの最新アドバイス

  1. デジタル化された勤怠管理システムの導入:1分単位の正確な労働時間計算を可能にするシステムの導入が不可欠です。

  2. 業種別の労働時間管理:特に建設業、運送業、医療業界では、2024年4月からの新規制に対応した労働時間管理が必要です。

  3. 勤務間インターバル制度の検討:従業員の健康管理と生産性向上のため、この制度の導入を積極的に検討しましょう。

  4. 退職者を含めた賃金の再計算:過去の労働時間計算に誤りがあった場合、退職者も含めて再計算と支払いを検討する必要があります。

  5. 労働条件の定期的な見直し:最新の法改正に合わせて、就業規則や賃金規程を定期的に見直しましょう。

まとめ

2024年は労働法制の大きな転換点となっています。特に時間外労働の上限規制が多くの業種に適用されることで、より厳格な労働時間管理が求められます。また、スシローの事例が示すように、1分単位の正確な労働時間計算と適切な賃金支払いの重要性が再認識されています。

社会保険労務士として、これらの最新動向を踏まえた適切な労務管理をサポートいたします。法令遵守はもちろん、従業員の健康と生産性の向上につながる労務管理の実現に向けて、お力添えさせていただきます。ご不明な点やご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。