NEXCHAIN 不動産IDワーキンググループ活動 ~各社のモデル事業での取り組み内容共有を通じた相互理解の促進~
こんにちは、NEXCHAINです。
NEXCHAINでは、会員企業同士が特定の事業分野について気軽に対話を重ね、ビジネス検討の糸口を見つけるための議論の場として、ワーキンググループ(以下、WG)を立ち上げています。
WGの概要はこちら:
2023年8月より活動中の不動産IDに関するWGについて、2月28日(水)に、以下のプログラムで実施しました。
1. 国交省への課題提言結果の共有・質疑応答
2. 来年度の不動産IDモデル事業の公募内容の共有
3. 参加各社での不動産IDモデル事業の取り組み・最終報告内容の共有
4. クロージング
今回は、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社様、積水ハウス株式会社様、損害保険ジャパン株式会社様、綜合警備保障株式会社様、東京海上日動火災保険株式会社様、日本電気株式会社様の計6社にご参加いただきました。
この記事では、今回のWGでの実施内容をかいつまんでご紹介します。
なお、不動産ID WGは過去3回にわたり開催しており、各回の様子はnoteで発信していますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。
第1回:
第2回:
第3回:
国交省への課題提言結果
過去のWG活動にて洗い出した、不動産ID・建築BIM・PLATEAUの検討推進における悩みや課題について集約・整理し、国交省に提言を行いました。目的は、複数の民間企業が抱える課題を国と共有することで、不動産ID・建築BIM・PLATEAUがより活用しやすくなり、広く普及することです。
WGで洗い出した課題を整理すると、3つのカテゴリに分類できました。
認知度や個人利用等に関する「普及」の観点、不動産IDの付番やその整合性に関する「不動産ID確認システム」の観点、不動産IDと紐づける情報や、個人情報やセキュリティに関する「その他情報との関連性」の3つの観点です。
これらの課題を国交省に持ちかけたところ、前向きに話を聞いていただけました。国交省としても、民間企業の意見を吸い上げたいため、今後もこうしたやり取りを継続的に行いたいとのコメントをいただきました。
詳細は割愛しますが、各課題に対するコメントとしては、普及活動は継続的に取り組む方針であることや、他の関連省庁との連携の必要性、また、不動産IDの付番における課題については、今年度の実証実験結果を踏まえて継続して改善を図る意向をお話いただきました。
来年度の不動産IDモデル事業の公募内容
大きな方針として、以下3点が挙げられています。
・今年度の実証実験結果を踏まえた不動産ID確認システムの見直し・改善
・見直し後の不動産ID確認システムを用いた、具体的な事業分野における実証事業での更なる検証
・PLATEAUへの不動産IDの付番
利用する登記データ数を拡大し、様々な分野で検証を行うことへの方針や、不動産ID・建築BIM・PLATEAUの三位一体での推進に向けた動きが読み取れます。
参加各社での不動産IDモデル事業の取り組み
今回の参加企業の内、モデル事業に取り組んでいる、綜合警備保障株式会社様、損害保険ジャパン株式会社様、積水ハウス株式会社様より、各社で取り組むモデル事業の内容や、実証を通じて見えてきた課題について共有いただきました。
資料の公開はできませんが、各社の発表内容を簡単にご紹介します。
~綜合警備保障株式会社様~
◆既存事業の効率化◆
警備業は顧客の建物等の異常をいち早く検知でき、臨時の警備員巡回業務、設備故障への対応、店舗開店前までの清掃手配等、警備業務に加えて様々な企業との連携が求められます。例えば清掃手配では、コールセンターや各エリアの協力店等様々な企業とのやり取りが発生します。更に、企業ごとに異なる顧客管理システムを有しているため、住所の表記揺れによりシステム間でデータの整合性が取れず、顧客の特定に時間を要したり、誤った案件手配を行ってしまう等の課題があります。
そこで、不動産IDをキーとした情報連携を行うことで、業務手配から結果報告までの一連の業務における運用効率の向上を図っています。
◆新サービスの創出◆
時間的な余裕がない災害発生時の初期段階等の混乱期においては、官民が連携して対処することの難しさがあります。また、被災地域では市区町村職員も被災しているため、要支援者の安否確認等にリソースを確保することができません。
そこで、みまもりタグが持つ位置情報を活用し、不動産IDをキーとして行政が持つハザードマップ情報と組み合わせることで、災害危険地域に取り残された要支援者の特定が可能になります。
~損害保険ジャパン株式会社様~
◆保険金支払実績とマンション管理適正評価結果の相関性の検証◆
一般社団法人マンション管理業協会が保有する、マンションの管理状態や構造に関する評価結果データと、保険金支払実績の相関関係を分析しています。所在地をキーに評価結果データと保険金支払実績を突合させますが、表記ゆれ等があり、双方のデータが突合できないケースが発生しています。
このようなケースにおいて不動産IDがあれば、効率的にデータの突合が可能となり、双方にとって価値向上に繋がるデータ検証が可能となります。
◆火災保険料算出の迅速化◆
火災保険料の算出には、様々な情報をお客様に確認する必要があります。特に新規契約の場合は、物件の所在地、構造、建築年等の確認に時間を要します。
不動産IDに火災保険料算出に必要な物件情報を紐づけることができれば、不動産IDの確認のみで保険料算出に必要な情報が入手できるようになり、保険料算出に係る業務効率化が図れると考えています。
~積水ハウス株式会社様~
◆転入居手続きにおける自治体連携DX◆
既に、賃貸の入居申込時に、電気・ガス・インターネット等の様々な企業に情報連携することで、各サービスの利用申込手続きワンストップで実現できるサービスを行っています。民間サービスの利用申し込みに加え、転出入届や水道申込等の行政手続きも含めて実現することを目指しており、そこに不動産IDを活用することを検討し、モデル事業としても取り組んでいます。
各取り組みを通じ、様々な観点の課題も出てきましたが、不動産IDの付番に関する課題は3社共通でした。
最後に
本WGの最後には、「各社が抱える課題感を共有できて良かった」、「国交省にも伝えていきながら課題改善に繋げたい」、「他社の取り組みを紹介いただき、非常に勉強になった」等、参加者の皆様から嬉しいコメントをいただきました。
今後も本WG活動は継続しますので、その様子をnoteにてご紹介していきます。
NEXCHAINの活動にご興味のある方は、下記までお問い合わせください。
・PLATEAU、Project-PLATEAUは、国土交通省の登録商標です。
・みまもりタグは、綜合警備保障株式会社の登録商標です。