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どれだけ性格が良くてもブスはブスなんだから黙って寝てろブス

突然だが私はブスだ。女が言う自称ブスはそこそこ自分に自信のあるやつが「そんなことないよ、美人だよ」という言葉をカツアゲするために言うものと、そこそこブスだけどもブスだよと言ってハードルを下げておくことで「いやそんなことないけどね」と相手からのフォローをカツアゲするために言うものの二種類があるが、私の場合はただの自己紹介であり、ブスだ。

極端にブスなわけでも無い。抱けるけど抱きたいと思うほどではない、酔っていればまあいいかというそのレベルのブスだ。言い換えると、好かれない容姿。それが私だ。でも、私は性格がいい。それが、それだけが取り柄だ。性格が良いというか、性格が男にとっても女にとっても都合が良い。それが私だ。

別に計算しているわけではない。もちろん、こうするのが嬉しいだろうなというのは考える。でもそれは、ほんとに相手の為をおもっているだけであって、そのことに対してどうこうというのは求めていない。そうせずにはいられない。私にとってはそう生きるのが正しいと思ってしている行動であり、こうとしか生きられない。

詩織ちゃんは優しいね。いい子だね。絶対彼氏できるよ。詩織ちゃんと結婚したら幸せだろうね。そんなことを周りに言われ続け、気づけば先月31歳になった。めでたくもなんともない。誕生日を覚えていた女友達は昔からの付き合いの洋子だけ。あとは家族と、一緒に過ごした時間の合計が24時間に満たない男たち数人がメッセージをくれた。男たちは全員同じ人なのかと思えるくらいに同じ内容のメッセージで、「誕生日だったよね?おめでとう。最近は元気してる?」という定型文ばかりが通知欄に並んだ。タケルよ、お前は6日前に裸で抱き合った仲だよ。お前と居た時間はあたしのなかで最近に含まれるんだよ。

産まれてこの方31年、何人かと彼氏彼女の関係になったが、一度も相手の友人に紹介されることはなかった。こちらの友人には2人紹介し、2人ともその時紹介した友人と結ばれた。あたしはどうやら二人の結んだ赤い糸に絡まっていただけだったらしい。それ以来友人にお付き合いした相手を紹介するのをやめた。

「今日来れる?」そんなメッセージが何日かに一度届く。いわゆる呼び出しだ。向こうは馬鹿な女だと思っているかもしれない。都合の良い女だなと。必要とされているだなんて大袈裟なことは思わないけれど、少し空いた暇な時間を潰す相手として選んでもらえたんだなと思うと、予定がない限り断ることはしない。美容院や宅配便の受け取りのようなごくごく個人的な予定であれば後回しにして呼ばれた先に向かう。少し話して、使われて、相手の邪魔にならないくらいの時間に帰る。それが私にとっての役割だ。

別に嫌な気はしない。ほとんど相手を選ぶことはないが、幸いなことに続いている相手は嫌な気がしない、むしろ好みの相手ばかりだった。今日私に連絡してきた翔太は、私より4つ年下で、医療系の営業マン。彼女とは学生時代からの付き合いで3年以上付き合っているそうだ。自分のことや仕事のことをよく話し、お酒を飲んでゲームして一緒に遊んでからセックスをする。今一番仲が良く、一番会っているお気に入りである。

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