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Rescued Dog, 家族を紹介します

2009年の感謝祭の二日前に、2匹のチワワの雑種犬がやってきました。双子の姉妹で、サシャとバンビと名前がつけられていました。
この日から、ニューヨークでの独りだった生活がとっても賑やかになりました。

お誕生日は雛祭り
彼女達は、ブロンクス地区内の、ある通りで、保護された様です。首輪も何もつけておらず、親切な人が近くのシェルターに連れて行ってくれたと聞きました。その後、獣医師の診察を受けた時の、血液検査で、双子の姉妹と判定されました。

推定年齢2歳位という事だけ知らされて、誕生日は勿論不明でした。3月3日、桃の節句をこの子達の、新しいお誕生日にしよう。『結構いいアイディア』(この話する時、いつも自慢げです。)

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何でもふたつ
ご飯を食べる器に、ランチョンマット。ハーネスとリード。ピーナツバターを入れるボーン(骨)も二つ。こうして、何でも二つ買う事が、とても楽しかった。

性格はまるで別々
サシャ(黒い子)は、甘えん坊でちょっとポーッとしてる。いつも私にくっ付きたがって、抱っこされるのが大好き。でも、運動神経は抜群で、チワワの血が入ってるとは思えない様に、走るのが早い。

バンビは、気が強く、いつも自分が一番。芸を教え込んでも、直ぐに覚える。サシャは、大体バンビの3倍は、時間も労力もかかった。バンビは、いつもサシャにちょっかいを出して、あんまりしつこいと、サシャにひどく嫌がられてた。

けれど、バンビは1日に必ず2度は、サシャの耳の中から、目の周り、そして顔全体を念入りにお掃除してあげてた。 (すごい音で舐めてた。😅)

必ず一緒
散歩に行く時、獣医さんへの健康診断、ドッグシッターへ預ける時、その他全て、彼女達を引き離した事は無かった。2匹一緒に連れ歩くと、いつも血が繋がってるの?とか、家族なの?とか聞かれて、『双子の姉妹です。』って答えるのが、私の喜びで、自慢だった。

お揃いで洋服なんかデザインしたりして。でも見せると、2匹でいつも一緒に固まってた。そういうところは、よく似てて、2匹ともすっぽんぽんがお気に入り。

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心臓疾患
彼女達が7歳くらいになった頃、心臓に雑音が聞こえると言われた。最初はバンビから始まって、それから1年後くらいには、サシャにも同じ症状が出てきた。よくある事なのだが、咳の頻度など、注意深く様態を観察する様に、獣医さんより言われた。

残念ながら、定期検診の度に、2匹共に、症状は徐々に進行して行った。投薬も始まって、毎年エコーの検査も試みた。

サシャの方が、咳き込む回数が多くなってきていて、ひどい時は、人間がする様に、『大丈夫?』って言って、背中をさすってあげたりした。そんな時、『もう止まった。ありがとう。』そんな事言う訳がないのに、そんな会話を本当にしている錯覚を覚えた。

それでも良く食べてくれるし、一緒に散歩に連れて行けば、未だに仔犬と思われたりもする位、サシャもバンビも元気だった。

サシャ、苦しいの?
2019年、8月。暑い日だった。ニューヨークは、盛岡と八戸の間位に位置しているが、湿気は少なくても、夏はやはり暑い。

その日も陽射しがジリジリと照り付けていて、散歩に連れ出しても、日陰だけを選んで歩く様にしていた。特にサシャは、黒い毛がほとんどなので、すぐに熱くなっているのが分かる。

帰宅して、サシャの様子が変な事に気付いた。とても息づかいが荒く、胸が大きく早く動いていた。皮肉な事に、その日から2日後に心臓外科医との予約が入っていた。

そこは、救急病院にもなっているので、すぐに電話したが、その日はその先生は、マンハッタン勤務では無かった。もう一箇所マンハッタン内の分院に、別の心臓外科医が居ると教えてくれた。

車内で気分悪くなったら可哀想と思い、地下鉄の方が早いとも考えて、サシャを抱きかかえ、バンビには頑張って歩いてもらって、病院へ向かった。『サシャ、苦しいの?ごめんね。もうすぐだから頑張ってね。』

不安の爆弾
手続きを済ませて、初めての病院で不案内だったのですが、地下が診察をする場所の様で、サシャはナースの方に連れて行かれました。

『どうしてこんな事に、しかもこんな急に・・・。』『昨日まで全然普通だった。』『直ぐに良くなる。』頭の中は、不安の爆弾が爆発して、思考回路がグチャグチャになっている様に思えました。あーでもない、こーでもないと、何を考えても何ひとつ建設的で、自分を納得させることができない状態でした。

バンビと二人で、個室で待たされながら、バンビはどう感じているのだろう。とかも思っていました。

担当の獣医さんが説明にきました。詰まるところ、人間で言う、肺に水が溜まり危険な状態。と説明を受け、『ウソでしょ?! そんなのひどすぎる。』心臓がバクバクし始め、落ち着かなきゃ、と心の中で言い続けました。

最後の希望
まず肺に溜まった水を抜く治療を始めるが、そうすると腎臓に負担がかかってくる、と、獣医さんは説明を続けていた。そして、全ての手を尽くしても、助かる事は保証できないと締めくくった。

でも、やれることがあるのなら、全部やってほしいと思った。『よくなって、一緒に家に帰ろうね。』ってサシャに言っていた。

暫くして、ナースの方が治療の費用と同意書を持ってきた。金額を見て咄嗟に、まだ貯金はあるって思ったことを覚えている。サインを終えて、書類を渡して、帰宅する前にサシャに会いたいと頼んだ。

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この写真が、サシャとバンビを一緒に撮った最後の写真になりました。亡くなった、3日前です。

『いつまでも家族だよ、みんな一緒だよ』
地下に降りて行き、サシャに会ったんです。小さな体にたくさんの管を付けられて、酸素室の中からじっと私とバンビを見ていました。自分で呼吸も上手くできない程になっていました。無力な自分への悔しさと、サシャの苦しみを感じて、居ても立っても居られない。なんとも情けない状態でした。

その時、私のパートナーも、仕事を抜けて駆けつけてくれました。二人で顔を見合わせて、『もう楽にしてあげていいよね。』と言った私の言葉で、サシャを逝かせてあげよう。と、決めました。

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私にとって、生き物の保護者になる、家族となると言う事は、最後の瞬間まで側にいて、看取ってあげる事。そう信じています。

御礼:とんでもない家族紹介になってしまいましたが、3月3日に、これを書き上げました。お読み頂いて本当にありがとうございました。

追記:バンビは、サシャが旅立ってから、本当によく頑張って、良い子です。また、機会がありましたら、彼女との生活も書いてみようと思います。

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