<第4回>業務委託契約制度を導入する際の留意点や課題
【1】業務委託契約制度(社員の個人事業主化)を導入する際の留意点
(1)社員の個人事業主化に対する「わだかまり」を払拭する
会社が業務委託契約制度を検討する際に、どうしてもポジティブなものとしてとらえることができない場合、その要因の1つに、会社(ムラ社会)のメンバーシップからの離脱を前提とする制度を自らの手でつくることへの葛藤があるのかもしれません。
会社との縁を切り、退職した社員が、契約形態を変えて、業務委託でつながることに対する違和感のようなものといえばよいのでしょうか。あるいは心理的な抵抗のようなものかもしれません。
実際、ある大手企業の人事部長は、筆者が業務委託契約で元の会社と関係を続けていることに対して、「元社員と業務委託契約なんてあり得ない。ぼくだったら、会社との雇用関係から外れることになるとわかった瞬間に縁を切る」と言っていました。会社の制度を利用して業務委託に切り替える場合はまた別なのかもしれませんが、社員の個人事業主化に対しては、一般に、今なお、このような感情を抱かれても不思議はありません。
また、社員との業務委託契約を認めてしまったら、独立する人が続出し、優秀な人材が流出してしまうのではないかと危惧する向きもありそうです。
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