動画に外国語字幕をつける前に確かめておきたいこと
なぜか、僕はこれまで定期的に、『複数の翻訳言語』を扱う仕事と向き合ってきました。
ある時は関わっていたウェブサイトの企画で、ある時は行政のお仕事で、またある時は企業の動画の多言語字幕で、最近はイベントのオンライン配信で…。
動画を作る上で、「字幕(テロップ)をつける」という作業は特に何も珍しくはありませんね。しかしこれが、いろんな言語になった瞬間、あれこれ気になるポイントが登場するのです。
データのやりとりはエクセルで
通常のテキストメールでのやりとりができません。
英語ならいいですが、それ以外の言語は文字化けする可能性が高い。
そのため、エクセルに貼り付けて、日本語と対比させた状態で送られてくることが多いです。
それはいいとして、問題は修正です。
「やっぱりこちらの表現に差し替えて欲しい」ということがよく起こる。
「このワードだけ差し替えて」と単発で送られてくるとそれを探すのに苦労します。韓国語やアラビア語などは、(僕は)見ても分かりません。
言葉ではなく、人の問題も発生しますね。
以前、とある言語で翻訳者同士が「相手の翻訳はおかしい」と言い合っていて困ったこともありました。また、「そんな表現はない、翻訳できない」と文句を言われたこともありました。
…とまあ、この辺りは、外国語を扱う方にとっては、よくある話ではないでしょうか。
動画の字幕ならではの注意点
ここから、動画の字幕ならではの話に移ります。
ただ翻訳がしっかりしてればいい、というものでもないのです。
【1】フォントとサイズで悩む
(1)フォントはどれがいいのか
言語によって、「どのフォントを使えばいいのか」でいちいち悩みます。
困ったことに、フォントが変わると、文字の印象がずいぶんと変わりますし、サイズまで違っちゃいます。
こちらを見てみてください。
同じ一文を、Google翻訳で各国の言葉に変換しています。
同じサイズにしても、フォントによってこんなに文字サイズや文字間隔が変わってきます。日本語字幕版と比較されると、「なんか違う」となってしまう。
(2)個人的に中国語はチェックを厳しめに
中国語は、簡体字と繁体字があり、これが結構違います。
そして同じフォントを使うと片方で変換できない、文字化けする、なんてことが発生します。
日本語も特殊なフォントを使うときに起こりますよね。そのフォントが対応してない難しい漢字だけ、別のフォントに置き換わる、みたいなことです。
長い文章の1文字だけ変。これが意外と気付けないのです!
他の言語よりチェックを厳しめにするようにしています。
(3)二カ国語を併記する時がしんどい
日本語と外国語を併記する。この希望も多いです。
フォントが違う言語が2つ並ぶと、サイズ違いが露骨になります。
細かく調整する必要が出てきます。一つ二つならいいんですが、何十カ所もあると、やっぱりしんどい!
【2】改行が問題!
上の翻訳言語一覧を見ていただくと、同じ表現でも、言語によって長さが違うのが分かるでしょう。これが結構、問題でして。
基準となる日本語が一行で表示できる部分も、外国語にすると二行になったりする。つまり、「どこで改行するか問題」が発生するのです。
知らない言語を適当に改行して、
例)
あの公園には大
きな木があります。
みたいに変な場所での改行になってしまうのは避けたい。
そのため、翻訳者に改行位置を確認する、という手間が発生することになり、その部分だけレイアウト(表示位置)も少し調整する必要も出てきます。
【3】字幕をつける前の、2つの下準備
海外の字幕をつけるときは、作業が始まってからあれこれ修正をすると、結構手数が多くなります。そのため、「作業に取りかかる前に下準備をする」というのが、僕が学んだことです。
2つあります。
(1)元となる日本語を、翻訳しやすく短い文章に変えておく
これ、とっても大事ですね。
表現をできる限りロジカルにして、翻訳しやすくします。
また一文一文が短いと、確認も便利です。
仕事の内容によっては元原稿に手を加えることができないことも多々ありますが、可能な限りトライしています。
(2)一番長い文章を基準にしてレイアウトを決める
エクセルなどでやってきた字幕データを並べ、一番長い文章を基準にサイズと表示位置を決めます。
明らかに長い文章がある場合は、翻訳の方に作業前に「改行する位置」を確認するようにもしています。
まとめ
海外のYouTube動画では、字幕が入っているものはあまり見かけないように感じます。見かけても、文字がとても小さいように思います。
お国柄が出るのかもしれませんが、外国語字幕を依頼するのは日本人ですので判断は日本風?となります。
YouTubeには自動翻訳で字幕をつける機能もありますね。
フォントはゴシック系で文字サイズは約37point(オリカワ調べ)、そして。
翻訳がいまいちな部分もありますが、ニュアンスを掴む程度なら使えますね。
映像のスキルに、日本も海外もありません。カメラも編集ソフトも似たようなものを使ってますし、YouTubeで海外の動画をチェックすることも増えてきました。
ウェブ上の外国語は、自動翻訳機能も充実してきて、海外の情報を得るのもあまり壁を感じなくなってきてます。
これからも改良はどんどん進むでしょう。
言語もボーダーレス。
ワクワクしますね。
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オリカワシュウイチ
映像クリエイター/絵コンテコーチ
初心者の映画制作をサポートする活動を全国で続ける。埼玉在住。
仲間ゼロ・カメラ1台から映画作りをスタートし『映画工房カルフのように( http://karufu.net/ )』を立ち上げ、セミナーやワークショップを通して、これまで1000人以上に映画作りをアドバイスする。スタローンに生で会ったことのある広島県人。著書に『事例で学ぶ1分間PR動画ラクラク作成ハンドブック』『iPhoneで作ろう ビジネス動画の教科書』(共にペンコム)がある。
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