【タレコミより】FLASHFORGE Adventurer3でGPL v2ライセンス違反か？

本日はやや残念なニュース、Flashforge社製品のGPLライセンス違反疑いの話題です。

FlashforgeはFFF/FDM方式の3DプリンタやLCD式光造形3Dプリンタを製造・販売していますが、Adventurer3シリーズにGPL v2ライセンスの違反の疑いが報告されています。
具体的にはAdventurer3シリーズのファームェアにWifiルーターなどで使われる組み込み用LinuxディストリビューションであるOpenWrtが使われており、OpenWrtを使用するAdventurer3についてもGP Lv2ライセンスが適用されるためソースコードの公開が義務付けられています。（ライセンスの継承）

License

GNU General Public License v2.0 - GNU Project - Free Software Foundation

OpenWrtがGPL v2ライセンスであり、それを利用して開発されたAdventurer3についてもGPL v2ライセンスが適用され、ソフトウェアの配布時にソースコードの公開が義務付けられるという図式です。

FLASHFORGE側の見解(2021年5月12日時点)

日本国内の代理店であるAPPLETREE株式会社を経由してFLASHFORGE本社へ問い合わせたところ、FLASHFORGEは現時点では否定しているとの事です。

上記メール文面はタレコミ元より

実際にOpenWrtは使われているのか？

実際にタレコミ氏にご協力頂き、実際にファームウェアをダウンロードして試してみた結果、下記のとおり使われているようです。

まずは最新のファームウェアをダウンロードします。
2021年5月12日時点では
"Adventurer3-1.2.5-1.6-20210329.tgz"
が最新となっていました。

ファームウェアダウンロード

.tgz形式となっているのでまず7zipなどで展開します。

今度は.tar形式の圧縮ファイルが出てきましたのでまた展開

やっと中身が出てきます。
いろいろありますが、お目当てのファイルは下記のファイルです
"kernel-1.0.0.tar.xz"
これをさらに展開

圧縮ファイルの中にまた圧縮ファイルですが、展開します。
"kernel-1.0.0.tar"

すると３つファイルが出てきますが、md5のチェックサムと実行用のスクリプトは置いておいて、本命は下記のuImageとあるファイルです。
"uImage-adventurer3-20180831"

このファイルをLinuxのfileで検査すると、このファイルがどのようなファイルか分かります。

画像だとわかりづらいのでテキストで

uImage-adventurer3-20180831: 
u-boot legacy uImage,
MIPS OpenWrt Linux-3.18.23,
Linux/MIPS,
OS Kernel Image (Not compressed),
6515364 bytes,
Fri Aug 31 06:00:30 2018,
Load Address: 0x80000000,
Entry Point: 0x80000000,
Header CRC: 0xFFB4EE12,
Data CRC: 0x44F60F68

ばっちりOpenWrt が搭載されている事が分かります。
Adventurer3にはWifiによる接続機能がありますのでそのあたりで使われているものと思われます。

今後

現時点ではAdventurer3シリーズのみですが、すでにFinderやGuiderなどの他の製品についても有志による調査が行われる模様です。

今後FlalshforgeがGPL v2ライセンス違反を認め、ソースコードの公開に踏み切るのか、注視していきたいと思います。

オープンソースなハードウェアとソフトウェアでRepRap3Dプリンターは繁栄してきました。Flashforgeはプロプライエタリなファームウェアとして提供して来たわけですが、そろそろ胸襟を開いてコミュニティーへの貢献をすべきかもしれません。

こぼれ話

似たような事案としては、低価格の3Dプリンターキットを販売していたAnetはMarlin firmwareのカスタムをしておきながら公開しなかった件と、サーマルプロテクションの不備のためにコミュニティから顰蹙を買ったこともありました。
（実際にボヤや火災の報告多数あり）

.@Anet3D We need to have a serious talk about Thermal Runaway Protection. https://t.co/briCa4tAYq

— Marlin Firmware (@MarlinFirmware) April 7, 2018

3d printer-3d scanner-Anet Technology

これを機に自分のマシンの安全と自由について一考してみてはいかがでしょうか？

「蓋を開けて確認できないものを安全だとは考えない」
という文化がOSSやOSHardwareの界隈にはあるわけで、クローズドorブラックボックスだから安全だという論理を展開する企業とは完全に対立する。

— はるかぜポポポ (@N3uuSp3ak) May 9, 2021

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追記 2021/5/13

ライセンス問題の解決に向けて動きがありましたのでこちらもお読みください。

記：はるかぜポポポ 2021/5/12