PVC管に火薬を詰めればそれはもうロケット 雨乞いと豊作を祈る「ロケット祭り」
2022年5月15日
タイの東北部(イーサーン)の中でもラオス国境に近い複数の県で行われる、雨乞いと豊作を祈る奇祭。雨期が始まる5~6月になると、県・郡・町といった単位で大小の祭りが繰り広げられる。特にヤソートーン県のそれが知られる。
ラオスでも行われるという。メコン河を挟んでラオスに接するムクダハーン県の安ホテルに泊まっていたとき、窓から見下ろす家屋にロケットが落ちてきて屋根の一部と電柱を焼いた光景を見たことがある。「ラオスから飛んできた」という話し声が外から聞こえてきた。
日本語と英語では「ロケット祭り」「Rocket Festival」と訳されるが、タイ語とラオス語では「ブン・バン・ファイ」で、ブン=功徳、バン・ファイ=火球・火の玉といった意味。ロケットという単語は含まれない。
雨乞いと豊作を祈るのが目的だが、ロケットを作って打ち上げるだけではもったいないので、打ち上げの高さを競うことになる。長さ2~3メートル、直径10~15センチのPVCに火薬を詰め、同じ長さほどの太い丈をくくりつけてロケットに仕上げる。かなりの重さになるはずだが、祭りの場に響き渡る解説を聞いていると、300メートルぐらいは打ち上がるらしい。もちろん失敗作もあり、空中分解したり、横に飛んでいって人にぶつかったりもする。
負けたチームは泥の池に落とされるという罰ゲームが有名だが、今年のロケット祭りではなくなっていた。それよりも気になるのが賭博。タイでも賭博は違法行為だが、みんなの目につくところで公然と行われている。作り手は自分たちのロケットが高く飛んでいけば小躍りして喜び、失敗に終わるとがっくりを通り越して顔を青くする。泥ゲームより賭けに負けた方が怖いらしい。