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出兵の列車を待つ兵士
戦時下のクロアチアで、出兵の列車を待つ兵士の1団を見かけた。首都オシエクの中央駅から列車に乗り、ボスニアとの国境のノヴァ・グラディシュカに赴くらしい。クロアチアはボスニアと戦争状態にない。両国内に居座るユーゴ連邦軍、すなわちセルビア人勢力と戦っているのだが、各勢力が入り乱れて陣地を確保しているので、10キロ前方に新たな前線、10キロ後方にほかの前線といった、訳の分からない戦況に陥っていた。敵は前からだけでなく、後ろからも迫ってくる。
「民族浄化」という虐殺が報道されていた。いつ殺されるか、どのように殺されるかに恐怖を感じないわけはない。それでも駅で列車の出発を待つ兵士たちは賑やかに振る舞っている。見送りに来た家族や仲間にも悲しみの顔を見せない。
写真の彼女はこの後、撮られたことが恥ずかしかったのか、列車が出発するのを見るのを絶えられなかったのか、彼に手を降って小走りで帰っていった。
写真は当時のポジをスキャンしたもの。