「サイバーセキュリティ市場の15%を占める「CrowdStrike」とはどのような会社なのか?」
ITインシデントとしては世界最悪クラスとも表現されている、2024年7月に発生した「CrowdStrike問題」では、多くの大企業が影響を受けました。Microsoftによれば、影響を受けた端末の数はWindows端末全体の1%未満とのことなのですが、なぜこれほど大きな範囲に影響が及んだのかは、会社が大きくなる経緯を見ると納得できる部分があるかもしれません。
https://gigazine.net/news/20240722-cybersecurity-company-crowdstrike/
出典:Gigazine
<創業者の人々>
CrowdStrikeを創業したのはジョージ・カーツ氏、ドミトリ・アルペロヴィッチ氏、グレッグ・マーストン氏です。特にカーツ氏は、1999年10月にセキュリティ企業のFoundstoneを創業し、大手通信企業のAT&TやMotorolaを顧客として抱えていました。
<創業まで>
Foundstoneが2004年にMcAfeeに買収されると、カーツ氏はMcAfeeの幹部となり、最高技術責任者(CTO)まで務めました。アルペロヴィッチ氏は、McAfeeで脅威調査担当バイスプレジデントだった人物。マーストン氏はコンサルティング会社・Network in Motionの最高財務責任者(CFO)だった人物です。
カーツ氏がCTO在任中の2010年に、McAfeeを原因としてWindows XPが再起動ループに陥る不具合が大規模に発生。売上の総利益率が80%と好調だったMcAfeeは大きな損失を出し、Intelに買収されています。
3人は2011年にCrowdStrikeを創業し、2013年にサイバーセキュリティ市場に参入しました。
<創業後>
サイバーセキュリティ市場に参入したCrowdStrike。特に人気を博したのは、高度なアンチウイルスサービスを提供する「CrowdStrike Falcon」で、政府機関との契約締結に役立つと評判だったとのことです。
さらに、2016年にはロシア政府系のハッカー集団「Fancy Bear(ファンシーベア)」などがホワイトハウスなど政府系機関をハッキングしようとした試みを検出したり、大統領選でヒラリー・クリントン候補のメールが盗み出された件に関与したハッカーを特定したりして、注目を集めました。
こうした成功を経て2019年に上場したCrowdStrikeは、市場価値110億ドル(約1兆7000億円)という規模に成長し、サイバーセキュリティサービス提供企業として最上位に位置づけられるようになったとのこと。
2023年には証券取引委員会がセキュリティインシデント関連の規制を厳格化したことにより、コンプライアンスを簡単に満たすためにCrowdStrikeのサービスの需要が高まり、さらに市場シェアを伸ばしました。その結果、市場シェアの15%を占め、市場価値は730億ドル(約11兆4200億円)規模で8000人の従業員を抱える、巨大セキュリティ企業になりました。
今回の件で、同社の株は当日に11%下落したそう。
Microsoftの発表では推定850万台のPCに影響が出たとのことです。すごい台数と思いきや全Windowsデバイスの1%未満だそうで、こちらもまたびっくりです。
日頃信頼の厚いソフトだからこそ、航空業界その他の大企業が使っていて今回の騒動が起こったということなのでしょう。外国の企業だけに、これから訴訟騒ぎが多数起こるんでしょうね。セキュリティ関連の企業に勤務している人にしてみれば、戦々恐々なお話でもあります。
今回はブルースクリーン状態となり、Windowsが正常起動しなくなるため、MicrosoftよりUSBにて起動可能なツールがダウンロードできるようになっています。
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