「犯罪の温床化」懸念する声 夜中にドアを…“ヤミ民泊”の実態
適切な手続きがされていない、いわゆる「ヤミ民泊」は、かねてからトラブルが絶えず、犯罪の温床になり得ると問題視されてきましたが、私たちの取材でも数々の”危うさ”が見えてきました。
(TBS NEWS23 18年2月28日オンエア)
●記者
「マンションから中国人とみられる男性が出てきました」
民泊に必要な許可や認可を受けていない、いわゆる“ヤミ”民泊は、都内にも無数にあると見られます。
マンションから出てきた女性…中国からの観光客だそうです。
●中国人観光客
「部屋はわたしたちのものじゃないわ」
番組が確認したところ、女性が泊まっているマンションは、民泊に必要な許可を得ていませんでした。宿泊先はネットで決めたといいます。
●中国人観光客
「4人で泊まれる広くて安い部屋を探していて、東京は高いところが
多いからここを見つけたの。日本円でいくらかはわからないけど、
700元(=約11000円)よ」
住民によると、このマンションは『「また貸し」が禁止されているのにもかかわらず、日常的に暮らしているのは「半数」ほど』。『民泊に使われている部屋も多い』と言います。
●皆川キャスター
「都内のこちらのマンションでも違法な民泊がおこなわれ、住民から騒音などの苦情が相次いでいました」
“ヤミ”民泊をめぐるトラブルは後を絶ちません。
こちらでは、迷惑行為が相次いだため、部屋を貸し出していたと見られる住民に自粛を求めましたが、住民は「民泊」をしていること自体、認めなかったと言います。
これを受け、マンションの管理組合では規約の変更をおこなったほか、民泊として使われているという証拠を揃えるようつとめたそうです。
こちらは、理事長がマンションを訪れた観光客らしき人たちを撮影した映像です。
民泊が疑われる部屋があるフロアまで、エレベーターで移動します。
その後、民泊として部屋を貸していたと見られる住民はマンションを退去しました。
マンション管理業協会の調査では、会員の8割以上のマンションで民泊を禁止する方針を示していますが、そのうち、実際に「規約改正」をしたのは半数以下に留まっています。
“ヤミ”民泊をめぐっては、どういったトラブルが多いのでしょうか。「民泊ポリス」として、“闇”民泊のパトロール活動や、ネット上で相談を受けている企業に話を聞きました。
民泊が行われているマンションで、突然、宿泊客が住民の部屋を訪れてきたという報告は、少なくありません。
「民泊ポリス」とは違う会社の調査でも、「部屋を間違えて無理やり開けようとする」「ドアを執拗にドンドンたたく」などの被害が出ていることもわかっています。
“ヤミ”民泊はチェックインするための、鍵の受け渡しにも大きな特徴があります。
鍵を収納するためのキーボックス。ダイヤルを合わせることでボックスが開くようになっていて、“ヤミ”民泊では、中に鍵を入れておき、受け渡しをおこないます。
つまり、貸すほうも借りるほうも顔を見ることなく、泊まることができてしまうのです。
さらに極端なのがこちらの写真です。
自転車に10個以上のキーボックスがつけられています。なぜ、このようなことになっているのでしょうか。
●「民泊ポリス」 オスカー・中込元伸社長
「建物の施設に鍵を取り付けてしまうと撤去することが可能/この自転車の所有者は建物ではなく、この部屋の住人なので、誰もここからキーボックスを撤去することはできない」
最近では、部屋ではなく、集合住宅の玄関がオートロックになっていることも多くなっています。こうした場所では、観光客が住人の後をつけて、オートロックを回避するといった手法も使われているそうです。
観光庁は、去年、国内のホテルや旅館に泊まった外国人の延べ人数が、7800万人となり、過去最多を更新したと発表しました。
価格の安さと利便性に、光が当てられていた民泊ですが、今後は、負の部分にも注目することが必要な時期に来ています。