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宮台真司氏“意識高い系”の悲劇!SNS離れの理由を徹底分析。
TBSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」“意識高い系”の悲劇!SNS離れの理由を徹底分析 2017,3,24 / YouTube2017,08,13 公開
▼最近facebookやtwitterなどのSNSが、退潮傾向にあることがわかりました。
▼アメリカのネットマーケティング企業によりますと、facebookの投稿数が過去1年で29.5%も減少し、1投稿あたりの「いいね」の数も8%近く減ったという事です。
▼twitterも赤字が続く状況。宮台さんが、SNS疲れの裏側を徹底解説!
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音声DATAテープ起こし
Q.宮台さんなぜSNS離れが起きているとお考えですか?
その前に、まずSNSにどうして疲れちゃうのか?っていうのを考えるのに、良いヒントがありますね。これはちょっと前に、時事(?)通信が伝えたんだけれど、結婚式代理出席っていう、代行サービスを行う会社が、最近ですね、SNSで結婚式などで、「こんなにお友達がいるよっ!」ていうのを、見せたい人たちによる利用が増えているということを言ってるんですね。映画を思い出すよね。「リップヴァンウィンクルの花嫁 (2016)」。見栄の情報のツールがSNSなんですよ。「こんなに来ています~」みたいなね。「パーティーこんなに賑やかで~す」みたいなね。だから意識高い系と同じで、イイネボタンいっぱいみたいなのと同じですよね。そういうクズの、、話なんですよ。
どうしてクズなのか?っていう話をこれからしますね。じつは、SNS離れっていうのは、最初2010年に、ベルギー、フランス、そしてアメリカというふうに、連鎖する形で、欧米からすでに起きています。ただ、2010年のFacebook離れといわれる現象は、いわゆるイノベーター層、アーリーアダプター層、最初にSNSに飛びついた層から順番に抜けていくと、簡単にいうとダサい層だけが残るということが、2010年以降見られていたんです。なんで、イノベーター層、アーリーアダプター層、ようするにリーダー層がね、離脱したのかっていうことをね、考えてみたいんですね。
いくつかのポイントがあるけど、ここで申し上げたいことからいうと、まずLINEのコミュニケーションを見て下さいね。スタンプと絵文字、なんとかナウみたいなのばっかりでしょう?これね誰が発信しているのかという情報を隠すと、じつは誰と誰のやりとりかまったく分からないんですよ。
簡単に言えば自動機械そのものでね。まーいわゆるチューリングテスト(※機械が人間的かどうかを判定するためのテスト)と簡単テスト(?)みたいなもんです。相手がロボットでも同じということですね。やりとりが自動機械で即時の反応なんですね。これは非常に面白いことなんですね。
ちょっと学問的な話をすると、意識とは何かというと、これは3,000年前から生じた現象だって考えられていて、ようは反応に対する反応なんですよ。単に悲しんでるんじゃなくて、悲しんでるなっていう自分、怒ってるなっていう自分に反応する。悲しむのは良くないなとか、怒っているのはどうだっていうことにさらにまた反応する。反応に対する反応に対する反応っていうふうになるので、
ようするに意識っていうのは、反応を遅らせるんですね、その遅れが、いわば主体性やユニークさに繋がっていくわけです。
ところが、LINEに見られるようなですね、スタンプなどを使った、即座の、自動機械的反応っていうのは、分かりやすく言うと主体性の抹消なんですよ。言い換えると、そこに遅れなどの主体性が見いだされると、むしろいびられ、簡単に言うと、叩かれるっていうことが起こるんですね。
僕に言わせると、こういうSNS的コミュニケーションが、性的退却の一つの原因です。性だけじゃないんですけどね、恋人だろうが、親友だろうが、名前だけでね。結局若い人に見せてもらうとですね、そういうコミュニケーションしかしてないから、自分も相手もどうせ入れ替え可能だっていう感じがあって、実りが感じられないっていうことがあるんですね。それがまずひとつですね。
つぎにね、Facebookのイイネボタン集めっていう、このクズなゲームについてお話をしましょう。あのね、簡単にいうと、意識高い系っていうのは、意識が低いっていう話なんです。意識高い系っていうのは意識が低いんです。なぜかっていうことをお話しますね。ちょっと哲学的な話になるけど、
人間の動機には内発性と、自発性が分けられる。内発性っていうのは内から湧き上がる力なんだよね、自発性っていうのは損得勘定なんですよ。
それで言うとね、イイネボタン集めっていうのは、単なる損得勘定で、お金集めと同じなわけ。ところで社会学者のマックス・ウェーバー(1864-1920)、今から100年前で、こういういことを言っている。
合理性っていうのはね、没主体化で、人間をよく入れ替え可能性にしてしまう。入れ替え可能にしてしまうんです。逆に言うと主体とは何かというと、まさに非合理なものにコミットする力(関わりを持つ力)なんだと言っているんですね。
簡単に言うと、イイネボタンを集めたりとか、損得計算で前に進む人間っていうのは、ロボットと同じで、いつでも入れ替え可能だということ。言い換えると、周りから「何でそんなことやるの?」ってみたいな不思議なことをですね、平気でやれる人間に主体性が認められるって事を言ったのが、マックス・ウェーバー。
じつはこれは、ニーチェ(1844-1900)っていう人の影響を非常に受けた思考なんだけれど、もともとは、ギリシャの考え方なんですよね。
さて、意識高い系っていうのは何なでしょうかね?これは、ようするにイイネボタンが、たくさん押されるようなことしかやらない、簡単に言うと、非合理、を維持する力がない、超ヘタレ!!
学問的に言いましょうか、合理的であることは、必ずしも、合理的ならず。非合理的であることは、必ずしも、非合理的ならず。
つまり、こいつは、ちゃんとした主体だ、意識がちゃんとしてる主体だ、というふうに、人々に、まさに、認められる。
例えば、上司に、友達に、恋人に認められて、深~い関係を結んでもらう為には、合理的なことをやってちゃダメなんですよ。
ところが、合理的に振る舞えば、合理的だ。非合理に振る舞えば非合理だ。と考える、頭の悪~いクズが、平気でですねイイネボタン集めをしている。それを意識高い系って言ってるんだから、意識高い系は意識が超~~~低い!おわかりになりました?
つまりね、というふうな事が、ずっと言ってきたことだけれど、やっとリーダー層だけじゃなくて、フォローワー層にも気づかれてきた。つまり時間の無駄だということなんです。
イイネボタンを押されたからって誰に尊重されてるの?簡単に言うと、自分で勘違いの自己満足をしているだけでしょう? 結婚も出席者代行サービスを呼んでイイネボタンを押してもらってどうすんの?さみしいやつだね。それが見栄になるって思ってる時点で、はっきり言って完全、終わってるよね。
イイネボタンっていうのはさね、そのさっきの愛してるの繋がりでちょっと言うとね、
見ず知らずの他人でしょ、見ず知らずの他人っていうのは、どんな立派なやつか?クズかも分からないでしょ?そんなのイイネボタンを集めてもしょうがないんですよ。それがじつは、最初2010年からのSNS離れの最初のきっかけだったんだよね。
自分にとって重要な人間に、簡単に言うと、尊重してもらいたいし、分かってもらいたい。あるいは、叱ってもらいたい。それが、人間のあたりまえの感情でしょ?
ということは、つまり、
見ず知らずの人間まで、どんぶり勘定で、自分の仲間みたいに感じるような感受性がクソでクズなんです。
ようはね、そういう社会が広がっている。見ず知らずのね、どうでもいい人間たちからなっている。それをね、簡単にいえば、仲間だと思わなければいけないってとかいう、脅迫、オブセッション(妄想、強迫観念)、これが、他方で反発として、社会がクズだ!っていう感受性を生む、可能性があるんです。それを、私は昔から言っていることです。最近も書いているけれどね。
基本的に、自分とって大事な人間、インポータントアザーズ(大切な他人)、大事な人間とそうではない人間と、截然(せつぜん)と識別できる力が必要だよね。
それは、知らない人間をないがしろにしろって事じゃないよ。そうじゃないよ。
どうでもいい人間がね、イイネボタンを押す押さないってことを、気にすんな!ってことです。そんな事は。
そんな事、僕気にしてたらですね。ウンコがついたケツでも舐めんのかよ!!
って言えませんよ(苦笑)僕はまったく気にしないです。ご存知のように。何事もやり過ぎはダメよっということなんですけれども。今のは逆効果でしたけれども。
どうでもいいことは気にしないっていうことを僕は言いたかっただけなんです。大事な人間を徹底して大事にするんです。大事な人間たちをね。
そいう、生き方を、やはり、つまり、もともとの人間の生き方だけど、それを取り戻さないことには、不安ベース、イイネボタン押してくれるか?っていう不安にかられながら生きているでしょう?
そうじゃなくてさ大事な人間たちと、簡単に言うと、絆を結んでいたら、安心ベース。幸福ベースに先進めるじゃん。
まあ不安ベースにウロチョロ、チョロチョロ、チョロチョロ、チョロチョロ、まあまあ、エゴサーチしたりとかほんとに、クズ!なんとかしろ!コラあ!!!
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【編集後記 私見】
共感した、大好きな宮台真司先生の言論を、1人でも多くの人と共有したいと思い、勉強させてもらいながらテープ起こしさせてもらいました。内容が琴線にふれるのは勿論なんですが、最後のくだり、何回聞いても爆笑してしまいます(笑)
先生が仰られる「クズ」は、ただ人を罵倒した言葉じゃなくて、きちんと三つの定義があります。それは、①「言葉の自動機械」②「法の奴隷」③「損得マシン」のことで、人間の感情劣化をまねく、人間の態勢・行動様式のことです。我々が陥りやすい、感情の劣化から生じる、人間同士の不和・不調、社会の不健全を回復させる為に、人に気付きを与えていく言葉としての「クズ」で、本当の愛情がこもった言葉だと私は思っています。またこの事についてはnoteにまとめたいと思っています。
このテープ起こしが、同じ問題意識を持つ皆さんのお役に立つと嬉しいです!
最後まで読んでいただき有難うございました!