E.V.2023 曲紹介 ジョージア
アーティスト名:Iru
曲名:Echo
ジョージアは古くから様々な民族が行き交い、独自の文化が醸造されてきた土地でした。
国として独立するまでに苦難の歴史がありましたが、それらの深い過去によって研ぎ澄まされた感性は、欧州ともロシアともアジアとも違った色合いを感じます。
ユーロビジョンには2007年から今大会まで殆どすべての大会に参加し続けています。…2009年大会を除いては。
2009年大会はジョージアにとって特別な大会となりました。
ジョージアは2008年にロシアからの侵攻を受け、国土の一部を一方的に分離独立させられる…という辛酸を舐めています。
その時の国民感情を反映させたのか…翌年2009年のジョージアの代表曲にWe don't wanna put inという曲が選ばれました。
この曲、一見するとご機嫌なディスコチューンの様に見えますが、歌詞をよくよく読んでみると、ロシアのジョージア侵攻を批判するような内容が随所に織り込まれています。
というか、曲名のWe don't wanna put inの"put in"の部分がプーチンとしか聞こえず、プーチン大統領を名指しで批判する曲となっている…という事が問題になりました。
ユーロビジョンを運営する欧州放送連合は歌詞の修正を求めましたが、ジョージアはそれに応じず、結果としてジョージアは参加を辞退しました。
今ならまた違った判断が下されたかもしれませんが、政治を(極力)持ち込まない、というユーロビジョンの基本理念は(建前上)尊重されなければなりません。
今年の代表アーティストIruはアルメニアにルーツを持つジョージア人アーティストです。11歳にジュニア・ユーロビジョンにCandyというガールズバンドのメンバーとして出場し、見事優勝した経歴を持っています。
そんな彼女が歌うのは、ひたすらに愛を歌うポップソングEcho。
ときおり挿入されるエキゾチックなテイストからは、ジョージアの複雑な文化風土を感じます。
不思議な衣装を身にまとって踊り舞うPVにも、ルーツの定かではない異国情緒が反映されており、独特の空気感を見せてくれます。
残念ながら、僕にはあまり彼女の歌声は響きませんでしたが、PVで見せたダンスパフォーマンスには大いに魅せられました。
ステージでどのように表現されるのか…ちょっと楽しみではあります。