檸檬
昔からなぜか妙にレモンに惹かれる。その理由は上手く言語化できない。好きなフルーツはシャインマスカット、梨、いちじく。唐揚げのレモンはあってもなくてもどっちでもいい。レモンサワーも別に好きじゃない。居酒屋で見るレモンには全く魅力を感じない。
私はモチーフや題材としてのレモンが好きなのだと思う。私の好きなレモンに関連した作品をいくつか紹介したい。
①米津玄師 『Lemon』
これはあまりにも有名すぎて説明不要でしょう。歌詞をちゃんと聴いたことのない人は改めて聴いてみてほしいですね。「胸に残り離れない苦いレモンの匂い」という歌詞で、包丁を入れた瞬間に香るレモンの匂いを思い出す。学生時代、部活でレモンの蜂蜜漬けならぬグラニュー糖漬けを作ることがあった。そのときの記憶だ。その後自分でレモンを買って切るようなことはしていないが、居酒屋で何度もレモンの匂いを嗅いでる。でもそれはなんか違うんだよな。適切な表現を選ぶ努力を放棄すると「エモくない」の一言に尽きる。
②梶井基次郎 『檸檬』
これは短編小説。作者の意図を理解できている自信はないが、鬱屈とした感じと情景の描写が好き。本当に短いお話だし青空文庫で読めるので、未読の方は是非。
③高村光太郎 『レモン哀歌』
高村光太郎の詩集『智恵子抄』の中の有名な詩。私は中学校の国語の授業で習った記憶があるので、読んだことがある人も多いと思う。読んだことがない人や内容を忘れている人は読んでみて。これも青空文庫で読めます。レモンの色、艶、目が覚めるような匂いが伝わってきて本当に好きな詩だ。定期的に読みたくなって検索してしまう。高村光太郎がとんでもないモラハラ野郎と知ってから『レモン哀歌』をはじめとした『智恵子抄』を純粋に美しいものとして読めなくなってしまったのが残念。
レモンを使ったお菓子を見つけるとつい買ってしまう。もちろん食品として好きなのだが、モチーフとして消費している側面もあると思う。私はレモンケーキが大好きだ。ここ何年か、広島県が名物としてのイメージ付けを頑張っている印象がある。ホワイトチョコがかかっているものも好きだが、グレーズの方が好み。いつかいろんな種類を買い込んで食べ比べするのが小さな夢。「レモンパイ」という食べ物に憧れてTHE CITY BAKERYに買いに行ったことがあるが、これはあまり好みじゃなかった。今年の2月には、自分のためにモロゾフの「キツネとレモン」のチョコを買った。美味しいのはもちろんのことモチーフとしてのレモンが好きな気持ちも満たされて非常に良かった。
自殺未遂のきっかけになる出来事が起きたとき、これまで好きだったものも全部失ってしまった気がしていたけれどまだ好きなものが残っていて良かった。おすすめのレモンのお菓子、レモンモチーフのものがあれば教えてください。