【暗闇への起点は2015年】安倍晋三政権とは何だったのか 私たちは何を許し、何を放置してきたのか
「この件は俺と総理が決める」だった
高市早苗氏も演じた政権の体質
ミステリー小説ならば、「すべての出来事は2015年に起きた」と書き出すかもしれない。史上最長政権として、1強を謳歌した安倍晋三首相時代の「闇」が、また1つ明るみに出た。放送法が規定する「政治的公平」を、首相官邸が介入する形で15年に大転換した経緯を詳細に記す78ページの総務省の行政文書が国会で暴露された。
暗躍したのは当時の礒崎陽輔首相補佐官。放送行政は担当でもないにもかかわらず、慎重姿勢を示す総務官僚をどう喝まがいで迫り、政治的公正の解釈を「1つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」から、「1つの番組のみでも極端な場合は、一般論として政治的公平を確保していると認められない」へ、強引に変更した。意に沿わないメディアの報道を抑え込もうとする政権の「体質」が浮かび上がる。
実は、森友、加計両学園問題も、厚生労働省の毎月勤労統計の不正も、起点は2015年。しかも、どれも真相が解明されたとは言い難い。この国のまつりごとが国民の真の信頼を取り戻すには、やはり「安倍政治」の再検証が必要なようだ。