鬼太郎、コナンに続け! 「聖地」作りで観光客を呼び込む鳥取県倉吉市

🔸売りはアニメではなく
  ストーリー付きの音楽配信サービス🎶

 地域おこしの新しいパターンとして注目されているのが、人気作品の「聖地巡礼」。作者の出身地や物語の舞台あるいはモデルとなった町を「聖地」として訪れる観光客を取り込む戦略だ。そうした地域おこしに成功しているのが、人口わずか55万人の鳥取県だ。「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する妖怪をテーマにした「水木しげるロード」で全国的な「聖地巡礼」ブームの先駆けとなった境港市や「名探偵コナン」の北栄町など、国民的人気アニメにあやかった地域おこし先進県として有名だ。その鳥取県に新たな「聖地」が誕生した。県中部に位置する倉吉市だ。

 倉吉市の「聖地」は、先行する境港市や北栄町とは趣を異にする。境港市と北栄町は、いずれも作者の出身地。作品世界と直接の関係はない。一方、倉吉市は作品の舞台となった町のモデルになっている。さらに先行する2自治体が漫画やアニメなのに対し、倉吉市はウェブ連動型音楽配信コンテンツだ。一言でいえば「ストーリー付きの音楽配信サービス」。アニメという物語ではなく、物語性のある音楽を売る新たなジャンルといえる。

 タイトルは「ひなビタ♪」。2012年12月からコナミデジタルエンタテインメントが配信を始めた。物語はこうだ。大型ショッピングセンターの進出で寂れてしまった日向美(ひなたび)商店街を復活させようと、地元出身の5人の少女が音楽バンドを結成し、町おこしに立ち上がる。キャラクターは登場するが、活動はアニメではなく、SNSのFacebookや音楽投稿サービスのYouTubeを通じて紹介される。つまり実在するバンドと同じ体裁をとっているため、ファンはリアリティーを感じる。「ひなビタ♪」は有料の楽曲配信サービスや漫画・小説化により収益をあげている。

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