次世代バイオ医薬として注目される“核酸医薬品”の課題を克服!─レナセラピューティクス─

臓器デリバリーや安定性向上
毒性軽減が可能な核酸医薬の技術

 核酸医薬は、抗体医薬に次ぐ次世代バイオ医薬品として世界中で研究開発が進められている。核酸とは、細胞の中心にある細胞核の中の物質の総称である。細胞核の中は酸性であることから、そう呼ばれる。

 核酸には2種類がある。DNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)である。DNAは遺伝子として働く。RNAは、DNAの情報に基づいてタンパク質を合成する働きを担っている。その核酸を、細胞内の対象遺伝子の発現部位にデリバリーするのが核酸医薬品である。

 一方、抗体医薬品は抗体を利用した医薬品のことである。特定の抗原と特異的に結びついて、疾患原因の抗原を体内から排除する免疫の仕組みで治療効果を発揮する。例えば、がん細胞の表面の目印となる抗原をピンポイントで標的とするため、高い治療効果と副作用の軽減が期待できるのだが、抗体医薬は細胞上の分子しか標的にできない。

 しかし核酸医薬は、細胞内のすべての対象遺伝子をターゲットにできる。たとえばメッセンジャーRNA(mRNA)なども制御することが可能となる。

ここから先は

4,663字 / 3画像
この記事のみ ¥ 200