【「ABEMA」テレビの会社として中高年も認知】案外浮かれてない、急がば回れ、柱を育てるようやく来たか『サイバーエージェント』
長い伏竜期を終え「ABEMA」が
サイバーエージェントの存在感を高める
ウォルト・ディズニーが今から90年前の1933年に発表したアニメ映画『シリー・シンフォニー』で一躍、世界的に知られるようになったお伽噺「三匹の子ぶた」のストーリーは、ご存知だろう。1匹目の子豚は藁の家を、2匹目の子豚は木の枝の家を、3匹目の子豚はレンガの家を建て、狼という共通リスクに対するおのおのサバイバビリティーの比較を通じて、物事を手早く仕上げるよりも手間や時間をかけて勤勉に対処する方が、結果として安全かつ有用がもたらされると唱えた教訓である。
巷間広く伝わるこの寓話を、今回持ち出したのは他でもない。2000年9月、当時の森喜朗首相が「全ての国民が情報通信技術を活用できる日本型IT社会を実現する」とぶち上げたE-japan構想から20余年。多くの投資家を巻き込んだジャパニーズ・ドリームの狂宴を終始リードしたソフトバンク(現、ソフトバンクグループ)を母親豚に例えると、孫正義の薫陶をそれぞれ受けた堀江貴文率いるオン・ザ・エッヂ(後のライブドア)、三木谷浩史の楽天(現、楽天グループ)、藤田晋によるサイバーエージェントの3兄弟の軌跡が、偶然なのか必然なのか、物語の顛末に似てきているからだ。