選手の活躍に甘えてはならない穴だらけの東京五輪 官僚は問題の最前線の状況にどこまで接しているのか
アスリートファーストより
ビジネスファースト
古典のおもしろさは、時空を超えて現代社会の景色を重ね見せてくれるところにある。たとえば清少納言の随筆「枕草子」。その「すさまじきもの」の段はどうだろう。
時は平安中期。中流貴族らは人事の行方に気が気ではない。定期異動である除目(じもく)で、この家の主人が今年は必ずしかるべき地方長官(国司)にという評判を聞いて、人々があちこちから邸に集まってくる。牛車で来る客も途切れなく、主人が任官祈願の物詣に行くと供にわれもわれもと参る。そして物を食い、酒を飲み、盛り上がってきて大声を上げ、騒ぐ(今でも目に浮かぶようだ)。
しかし、待てども門をたたく吉報の音がしない。おかしい、と聞き耳を立てるが、除目を夜通し詮議していた公卿たちは、事を終えて役所から帰っている気配。