―自転車業界のインテル―国際企業の名を欲しいまま、小さな巨人「シマノ」創業102年目の難敵「電動化」にどう挑む?

6期連続増収確実もウ戦争が響き
株価は低迷、ただ、悲壮感はない

 国内では恐らく、首相官邸と並ぶ厳しい警備体制が敷かれた場所であろう東京・赤坂のアメリカ大使館。30mおきに警察官が立哨し、ビルの陰からは私服刑事が周囲に目を光らす。日本にとっての宗主国がどこなのかを、語らずとも示す光景といえるだろう。

 この通称“アメ大”の正面に、昭和から平成にかけて長らく存在したのが日本自転車会館だった。自民党宏池会が事務所を置き、池田勇人内閣はここで「所得倍増論」の草案を練った。

 その後も保守政治の舞台となった会館は、地域再開発によって2017年、地上38階地下3階の超高層ビル「赤坂インターシティAIR」へと生まれ変わった。だが、会館の実質的な大家であった一般社団法人日本自転車協会は引き続き、赤坂インター内に拠点を構えている。

 自転車という軽便な乗り物に関わるメーカーや販社が、都心でも指折りの一等地に業界団体を構えることができている理由は、大きく挙げて2つある。

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