「打倒トランプ」の限界露呈する民主党 確実に赤信号が点滅し始めた中間選挙
中間選挙の前哨戦となる州知事選の退潮
背筋が凍るバイデンら民主党幹部
年明けすぐに選挙戦が本格化する来年秋の米中間選挙の前哨戦となる11月2日の州知事選と主要都市首長選の結果に、ジョー・バイデン大統領率いる民主党に衝撃が走った。ここ10年、国・地方レベルの主要選挙では民主党がほぼ無敗だった。だが、昨年の大統領選挙でバイデンがドナルド・トランプに約50万票(10ポイント)の大差で勝利したバージニア州の知事選挙でテリー・マコ―リフ候補が惨敗。しかも同候補は州規則で2期連続知事を続けることが禁止されていたため、4年前にいったん知事を辞職したものの、堅実な実績と高い人気でこの夏までは世論調査結果で大きくリード、楽勝と思われていた。
それが蓋を開ければ共和党のグレン・ヤンキン候補に7万票(約3ポイント)余りの差をつけられ、大逆転の敗北。さらに民主党の伝統的牙城でやはりバイデンがトランプに70万票(16ポイント)差をつけて大勝したニュージャージー州でも、民主党現職知事が共和党候補に6万票(2.6ポイント)差まで迫られる薄氷の勝利だった。また、ニューヨーク市長選挙では、共和党の勢いがことのほか増しているため、民主党候補が大きな争点となった警察の在り方で従来からの共和党の政策を半分取り入れるような公約をして、かろうじて切り抜けた。
この激しい退潮ぶりが、中間選挙対策を練る上でバイデンら民主党幹部の背筋を凍らせた。詳しく解説するのが、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙の「ヤンキンのバージニア州勝利―共和党への中間選挙道標、民主党には警告(Youngkin’s Virginia Win Offers Midterm Road Map for GOP, Warning for Democrats)」とニューヨーク・タイムズ(NYT)紙の「民主党に厳しい夜、党の弱点を露呈(Rough Night for Democrats Exposes the Party’s Weakness)」(共に11月3日付)だ。