衰退した大手家電メーカーは何思う  目の付け所が現代にマッチ「高級生活家電」 日本のお家芸復活を牽引するバルミューダ

アップルと同じ経営スタイル
海外販売にも注力

 バルミューダは、昨年12月にマザーズに株式を上場したいわば新参者である。しかも、創業者である現社長がたった1人で2003年に仕事を始め、株式会社になったのは11年だ。同社の売り物は、高い機能やしゃれたデザインの高級生活家電=プレミアム家電である。

 家電製品の国内市場はすでに買替中心の成熟市場となっており、人口減少とともに市場は長期的には縮小すると思い込んでいたかつての家電メーカーは次々に事業を諦め縮小。分野によってはダイソンやデロンギなど外資に市場を奪われた。お家芸の失墜だ。だが、彼らの活躍は、省エネ機能ほか高い付加価値をつければ、家電製品にも新たな需要があることを証明した。

 バルミューダの企業理念は「卓越した創意工夫と最良の科学技術によって、どこにもなかった素晴らしい方法を創出し、人々の役に立つ」である。新たなうれしさや楽しさ、素晴らしい体験を顧客に提供したいという意思が凝縮されている。

 定価販売を基本とし、販売価格は通常製品の2〜10倍と決して安くはない。それだけ自信がある、ということだろう。

 バルミューダは、製品の企画、デザイン、設計、開発、販売に集中し、製造には直接タッチしていない。製造は主に中国や台湾のメーカーへ委託している。独自の工夫を凝らす企画を立て、製品を開発することこそが、同社にとって最も重要なプロセスなのだ。研究開発に多額の資金を投じ、そして「バルミューダ」ブランドを強く打ち出すための広告宣伝、販売・顧客サポートに資金を投入する。スマホのiPhoneを提供する米国のアップルと同じ方式だ。

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