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日本産業の崩壊、行き過ぎたグローバル化

 かつて日本の自動車、半導体、家電は世界市場を席巻していた。敗戦の荒土から日本独自の技術に磨きをかけて、日本経済(GDP)はアメリカに次ぐ世界第2位になった。豊かな国になり、社会学者エズラ・ヴォーゲルによる1979年の著書「ジャパン・アズ・ナンバーワン」は、産業を育成し守る官僚機構も採りあげられた。

 しかし、絶頂期が奈落の始まりは世の常か。1980年頃から、日本はアメリカのレーガン大統領に唆されて、国の福祉・公共サービスの縮小(民営化)、大幅な規制緩和、市場原理主義の重視を特徴とする経済思想「新自由主義」に乗り、資本移動も自由化する「グローバル化」に走った。

 日本だけではない。世界の企業が「世界で一番安い製品づくり」を求め、労賃の低い海外に工場を移し、競争を始めた。だが、円安は輸出企業が儲かるという神話も消えた。世界に広がった部品のサプライチェーンは円安によって調達価格の上昇をもたらし、企業収益を蝕む。トヨタの2022年9月中間期の過去最高売上・減益の事実が証明する。未だ多くの企業が円安の恩恵を受けていると、ゼロ金利に執着する黒田東彦日銀総裁は、異次元の金融緩和の自縛から逃れられない。

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