「情報で国家を転覆させる」を厭わない奴ら 脆弱な民主主義国、「サイバー真珠湾」を防ぐ処方箋
情報への不信を醸成し混乱と不安を増長
憎悪と社会的虚偽を増幅するサイバー攻撃
昨年12月7日に80周年となった日本海軍によるハワイ真珠湾攻撃は、やはり米国民に特別な思いを抱かせるようだ。1812年の第二次独立戦争ともいわれる米英戦争で、英国軍に首都ワシントンを占領されて以来の外国軍による米国本土への軍事侵略で、当時のフランクリン・ルーズベルト大統領は同日を「A day of infamy(屈辱の日)」として記憶するよう国民に訴えた。
そして今回の真珠湾攻撃の周年日前後は米主要映像・活字メディアがこの奇襲爆撃をこぞって取り上げた。ある特集では、沈没した米戦艦8隻中、最大の1100人余の犠牲者を出し、同湾に沈んだままの戦艦ミズーリを紹介する。未だに燃料油が毎日約2ℓ流出、海面に浮かび上がる光彩を放つ皮膜の一部が黒色になることから「black tear=黒い涙」と呼ばれ、2001年のアルカイーダによる同時多発テロにも触れながら、この惨劇が決して歴史の彼方に忘れ去られてはならないと結んだ。
こうした感情面に訴える記事とは距離を置いた特集を組んだのがフォーリン・アフェアーズ誌だ。日常生活から軍事安全保障まで人間生活のすべての面で重要度を増しているサイバー空間での「サイバー真珠湾」に対する米国の備えについて米国の現状を徹底分析している。「America’s Cyber-reckoning How to Fix a Failing Strategy(米国のサイバー審判 失敗戦略をいかに立て直すか)」、「A World Without Trust The Insidious Cyberthreat(信頼喪失の世界 忍び込むサイバー脅威)」など4本の記事で構成する。