確固たる信念に乏しい融通無碍 コロナが炙り出した何ともひ弱な首相

ワクチンの3回目接種で露呈した
意志の弱さと腕力のなさ

 新型コロナウイルスのオミクロン株の感染が経験のないスピードで拡大、1日当たりの感染者がついに10万人を突破した。第5波が落ち着いた昨年秋、「最悪の事態を想定」して対策に取り組むと公言した岸田文雄首相だが、頼みの3回目のワクチン接種は出遅れ、病床逼迫の回避や社会機能の維持のための濃厚接触者らの自宅待機期間の短縮、検査キットの準備、入退院基準緩和等も後手に回る。

 なかなか決断できない印象も与え、未曽有の国家危機に立ち向かう指揮官としての手腕に疑問符が付き始めた。「批判ばかり」との批判を恐れる野党が激しい攻撃を浴びせていないことが幸いしているものの、メディアの世論調査で支持率は低下に転じた。

 国際情勢に目を移せば、ウクライナを巡り、米欧とロシアが一触即発、北朝鮮はミサイル発射を繰り返し、米中の覇権争いは激しさを増す。就任5カ月を迎え、大きな試練のときを迎えた岸田首相。2021年最大の政治決戦・参院選まで半年を切り、ひ弱さも垣間見える。

 立憲民主党の江田憲司氏「(昨年12月の所信表明演説でケネディ元米大統領の)『屋根を修理するなら日が照っているうちに限る』という言葉を引用した首相の思いは何だったのか」「嵐の真っ最中になって屋根を必死に修理している。家が水浸しになってしまう」

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