地方分権VS中央集権 国と地方の「モヤモヤした関係」
代議士は知事よりエライ?
日本は中央集権国家
五輪の聖火リレーを巡って、地方としての立場を率直に発言した県知事に対して、「注意してやる」などと威嚇した代議士がいた。まるで「自治体の首長より代議士のほうが上」と言わんばかりの言動に、地方自治体に対する国の意識がよく分かる。
地方と一口に言うが、広域の都道府県やその下の市区町村など、幾つかの階層が現実にあるが、一般には国に対して都道府県を指す場合が多い。この国と地方の関係は、推進されているコロナ対策でも微妙な対立を生んでいる。自治体が地方の立場を主張すると、とたんに中央が反発したり、その逆であったり、ギクシャクしたことがしばしばあった。それは地方分権が建て前に過ぎず、実は日本には根付いていないからだと筆者らは考えている。
地方分権とは、行政サービスの実質的な決定権や必要な財源が、地方自治体に移譲されることを言う。地方が自ら考え、実行できる体制を整備していくことで、個性豊かで活力に満ちた地方分権型社会が実現されるとする。
価値観の多様化した現代では、国が地方のことを中央集権的に画一型で考えるのではなく、地域の実情を最もよく知る地方自治体が自ら創意工夫して、地域の行政サービスを主体的に決定し取り組む仕組みが求められている。そこで国に対する地方自治体の権限を強化しようとされているわけである。
例えば地方自治体の首長や地方議会議員は住民の選挙で選ぶ。国の法律による地方への規制をできるだけ少なくする。一方で、地方自治体の財政上の裁量権を増やす、といったことが行われるのが地方分権である。