増える米国産牛肉に緊急輸入制限発動 だが、米国は諦めない。国内基盤をどう守る
スーパーなどでは輸入牛肉の売り場が拡大
「未来に希望が持てない」国内生産者
輸入が増加の一途をたどる米国産牛肉に対し、政府は3月18日、日米自由貿易協定に基づき米国産牛肉に緊急輸入制限措置(セーフガード=SG)を発動した。輸入量が同協定の基準を超えたことに対応して講じた措置で、4月16日まで同国産牛肉の輸入関税が25.8%から38.5%に引き上げられた。輸入牛肉へのSGの発動は、米国産やカナダ産牛肉などを対象に実施した2017年8月以来、約3年7カ月ぶりである。ただ、農水省は、3月の発動で引き上げの適用期間が約30日と短いため、小売価格に転嫁されても、影響は限定的と楽観視している。先読みをした外食企業や量販店などが手当てを進めてきたためだ。
しかし、日本市場でのシェア拡大を目指す米国は、一層の輸入拡大を企図している。今後の交渉で、日本は新たな譲歩を迫られる公算が大きい。すでにスーパーなどの店頭では、消費者の「低価格志向」もあって、米国産はじめ輸入牛肉の売り場が拡大。「未来に希望が持てない」国内の肉牛生産者がさらに厳しい経営状況に追い込まれる。国内の生産基盤を守り、安定的持続的な生産を確保するために、政府に何ができるか、だ。