開発段階で使う毒性予測ソフトで 化学メーカーの研究開発をアシスト ─ゼノバイオティック─
安全を確保するための毒性試験
不通過が半数以上も
今回は、有害な化合物の問題に対処する化合物毒性予測の技術を持つ、今まさに始動中の大学発ベンチャーに注目した。
化合物は身近なところでは医薬品が代表格だろう。また、工業化社会で暮らす我々は、医薬品以外にも化合物に触れる機会が極めて多い。その中でも、産業化学物質や農薬、食品添加物、環境汚染物質などといった有害な化合物が問題視される。
有害な化合物と言えば、しばらく前に皮膚病薬に睡眠導入剤成分が混入した事件があった。しかし、あれは製造手順に問題があったために発生したものだ。一方、この記事で取り上げるのは、それ以前の、化合物を設計開発する段階の技術である。化学製品の成分である化合物が安全かどうかというチェックについて取り上げてみたい。
有害な化合物の問題では食品添加物がよく知られている。食品の腐敗を防ぐ保存料をはじめとして、色、香り、食感をつけるためなどに使われる食品添加物は、その一部に有害なものがあると告発する本がベストセラーになった。その本ではメーカーに悪意があるかのように書かれていたが、悪意はないにしても、メーカーとしては有害物質が意図せずに含まれることを避けねばならない。
メーカーと一口に言っても、関係するのは食品添加物だけに限らない。幅広い化学製品のメーカーが存在しており、身の回りは化合物でいっぱいだ。
化合物はネガティブな面ばかりが強調されがちだが、人間にさまざまな恩恵をもたらす。だからこそ新化合物が続々と開発される。
とはいえ、問題を惹き起こす場合があるのも事実で、衣類で言えば、シワ防止加工に使われるホルムアルデヒドには発がん性があり、皮膚を刺激する。また、難燃剤や、防水・防汚加工に使われる化合物も有害性が指摘され
ている。