減少する人間同士のリアルな接触機会 ネット社会がなくしてしまう人間味

替え玉事件もずいぶんと変わった
どこかドライな違和感を抱かせる

 芭蕉の名句「おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな」をもじれば、「おもしろうてやがて悲しき事件かな」ということがある。事件で人の情の滑稽で哀れな空回りを感じると失笑は消え、いたたまれない気分になるのだ。

 たとえば、1975年、東京の私大入試で娘のためにパンタロンで女装して独断で「替え玉受験」し、会場で見抜かれた父親の事件。

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