引き際は失敗も「中興の祖」は不変 宮村眞平逝く 新世代が引き継ぐ三井金属の今後はいかに
経営計画さえ守ればいい?誰がための経営?
今どきの経営者の心をえぐる姿はどこに?
6月中旬、現役時代にはその辣腕が業界の外まで鳴り響いたある経営者が、亡くなった。享年87歳。小柄ながら、身体からは第一線を退くまで常にエネルギーに満ち溢れていた。天寿を全うしたと言ってよいかと思う。
非鉄金属大手・三井金属鉱業(以下、三井金属)の「中興の祖」と呼ばれる一方で、権力への飽くなき固執も一部から指摘されるなど、話題を集めることが多かった経営者、宮村眞平だ。
昨今の上場企業のトップは、株主を筆頭とするステークホルダーに対して、予め示した経営計画や長期構想に沿って粛々と事業運営を進めることが、いの一番に求められる。予算ラインを下回ることは端から「評価」の埒外。
しかも、やっかいなのは見通しを大きく上回るパフォーマンスを残すことも、経営者に「先を見る目」がない証左だとして厭われる。
必然、トラブルシューティングに長けた秀才肌の官吏タイプが好まれるようになる。実際、こうした“慎重運転”の社長が、各業界を見渡してみても、10年前と比べて圧倒的に増えている。親分肌で勝負勘を重んじるようなふた昔前のトップを擁していると、それだけで企業評価がディスカウントされるといった笑い話すらあるほどだ。