民主主義と独裁政治のどちらを選ぶか バイデンが賭ける「大きな政府」戦略
40年前に大きな転換があった
それはロナルド・レーガンの発言だった
「政府が問題の解決策ではない。政府が問題そのものなのだ」
第40代米国大統領ロナルド・レーガン(共和党)は、40年前の就任演説でこう国民に訴えた。そして、それは1929年の大恐慌以来、経済を堅実に成長させて個人の自由と幸福を保障するには、政府が積極的に経済活動に介入する「大きな政府」ではなく、市場と民間の自由な活力を重んじ、政府の規制・関与は最低限に止める「小さな政府」が経済には一番だと、国家的認識を一大転換させる歴史的言辞を発した。この「新自由主義」はそれ以来、ブッシュ親子とドナルド・トランプの共和党政権に限らず、ビル・クリントン、バラク・オバマの民主党政権の政策さえも基本的理念として多かれ少なかれ採用されてきた。
しかし、民主党のジョー・バイデン大統領が3月末に打ち出した総額2.3兆ドル(約250兆円)に上る社会インフラ投資政策案は、この40年間の米国経済政策運営の定石を180度転換し、再び「大きな政府」路線に戻す歴史的意義を持つ。その可能性があると指摘するのが、ニューヨーク・タイムズ紙の「レーガンから40年、大きな政府の有用性に賭け(40Years After Reagan, a Bet Big Government Can Get Something Done)」(4月1日付)だ。
バイデンが提案する戦略は、2.3兆ドルを8年間にわたり、約半分を道路や橋、水道管更新や港湾整備など伝統的公共事業に加え、高速インターネットやハイテク時代に対応する職業再訓練経費などの現代的社会インフラ整備に充てることだ。そして残る1兆ドル余は、気候変動削減のためのグリーンエネルギー開発や、学校や老人介護施設、低所得者向け住宅の再整備などに振り向ける、というものだ。