自分はいったいどこにいるのか?“空間識失調”の時代を映した2022年
重要な公的記録を保存し、欠損なく
後世に継ぐ文化が著しく劣化しつつある
思いがけぬ深刻な「想定外」事態が相次いだ2022年。一言でくくる言葉を探していたら、「空間識失調」 が浮かんだ。
航空機のパイロットが飛行中に突如上下や平衡感覚を失い、自分の位置が分からなくなってしまう症状である。しばしば墜落事故の原因になる。
ロシアのウクライナ侵攻、それに伴うエネルギーと食糧危機、現実味を帯びて増大する核戦争への不安など、環境破壊を待つまでもなく、急坂を転げ落ちるような危機にあって空間識失調のごとき状態の人類社会だ。