「安売り厳禁」で地域農業を復活させた 茨城県つくば市の「みずほの村市場」
国内最大の「学術都市」、進むベッドタウン化
困難に晒される農業、なら「高く売ればいい」
農業による地域おこしと言えば、都市から離れた長閑な過疎地での出来事に思える。だが、農業は東京や大阪を含む全都道府県で営まれている。とりわけ都市部では「農業しかない」地域に比べると、行政や住民の農業に対する関心が低い。それだけに都市部の農業は厳しい環境下に晒されている。茨城県つくば市の農業も困難な事態に直面していた。
国内最大の「学術都市」として知られるつくば市も、かつては長閑な農村だった。東京一極集中の緩和を狙い、1960年代から都内の研究機関や大学の移転先として「筑波研究学園都市」開発が進められている。2005年に、つくばエクスプレスが開業して東京都心の秋葉原駅から45分で結ばれるなど交通の利便性が高まったため、ベッドタウンとして人口増加が続く。そのため地元で「地域おこし」は、さほど大きな問題として意識されていない。だが、市内で強い危機感を持つ人たちもいる。それが地元農家だった。