NEW LEADER LIBRARY📚(`21/11)
アメリカ軍やGHQの隠蔽と検閲
死の苦しみを世界の人々は全く知らなかった
原爆の正体を世界中に知らせた反骨の記者
『ヒロシマを暴いた男』
レスリー・M・M・ブルーム著 高山祥子訳(集英社1,980円)
――1945年以来、世界を原子爆弾から守ってきたのは広島で起きた事の記憶だった。――
本書の冒頭に掲げられたジョン・ハーシーの言葉だ。ハーシーは広島に原爆が落とされた一年後、雑誌『ザ・ニューヨーカー』に広島で何が起き、その後、何が起きているのかについて生々しいルポルタージュを発表し、世界に衝撃を与えた。
なぜ1年後の報道がそれほどの衝撃を与えたのか。アメリカ政府が、原爆の破壊力と残酷な被曝の実態を隠していたからである。
著者は、原爆投下直後の米政府による強力な報道規制を次のように記す。
米政府と占領軍は、先ず日本のメディアに広島、長崎の被害状況を報道することを禁じた。海外の報道関係者にも、広島、長崎への立ち入りを禁じた。