経過を分析、徹底的に探究、法則を抽出する
それが頭にない指導的エリート層への失望
コロナ禍に広がる不信や不安と重なり合う
山田風太郎の「戦中派不戦日記」 日本人は「なぜか」という疑問を起こすことがまれである――。敗戦の翌日、1945年8月16日の日記に当時23歳の医学生はこう書いた。ましてや「『なぜこうなったのか?』というその経過を分析し、徹底的に探究し、そこから一法則を抽出することなど全然思いつかない。考えて出来ないのではなく、全然そういう考え方に頭脳を向けないのである。一口にいえば、浅薄なのである。上すべりなのである。いい加減なのである」と悲憤と失望の