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歌心
先生には「発表会の前日まで迷っていいんです」と言われたけれど、まさか迷いに迷うことなるとは思ってもおらず。
先日、会の前の最後のレッスンで「この曲をもう少し工夫できるとしたらここでしょうか」と教えられた部分に悩んでいる。
そう表現しなくても無難に成り立つ。
そこをより良くしようと先生が提案してくださったものなので、いろいろ試してみるのだけど全然しっくりこない。
「その進行を楽しいと感じられるように弾いてみてください」
と言われた。でも、何をどうやっても楽しくない。
では、元のままがいいかというと、もはやそれでは物足りないと感じるので、元の道には戻りたくない。
新しい道も見つからない。
無難に元に戻すのだってありだと思う。
前日まで試行錯誤するのが正しいとも思う。
もはや表現じゃないところで悩んでいる。
「音を丁寧に弾くのがいしいさんのいいところ」と先生は言う。
自分でもそういう弾き方だなって思う。
音符を鍵盤に移行しただけ、というか。
ひとつひとつはきちんと音になっているけれど、音になっているだけで曲になっていないというか。
丁寧のその先に行けない。
私には歌心がないんだと思う。
歌、というものがよくわからない。
感情がこもったように聴こえる強弱のつけ方とか、テンポの揺らし方があるとして、私には全然それがわからない。
先生はかなり具体的に言語化して教えてくれるけど、ポンコツな私の手では再現できない。
フレーズのおさめ方一つとってもまるでセンスがない。
ピアノを続けられるだろうか、と迷う種には事欠かない。
歌心がないことも種の一つで、けっこう致命的なのでは?と思っている。
「工夫」と言われて難なくできる人が、感覚的にわかる人がいる。
その「工夫」がどういうものなのか、私にはどこまで行ってもわからないような気がする。
それが歌心なんだろうな、って。
だとしても、その日は来るんだし、そのときの自分で弾くしかないけど。
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