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選挙

私は子育てを全くと言っていいほどしていない。
「可愛い、可愛い」と能天気に頭をなでているうちに、立派に大人になってくれた。
子どもの賢さに甘え、助けられて、どうにかこうなった。

そんな手抜き子育てで、子どもにあえて教えたことがふたつある。
ひとつは箸の使い方。
これは私の好みであり、偏見だけど、箸の使い方の下手な人と一緒にご飯を食べたくない。
食べ方は、料理によっては多少汚くなることもあるけれど、箸の持ち方は美しくあるべきだ。
美しい持ち方が、結局のところいちばん合理的な使い方になる。
子どもふたりとも聡かったので教える苦労はなかったけど、きれいに食べることが表す意味もちゃんと受け取ってくれたようだ。

もうひとつは選挙に行くこと。
子どもがうんと小さい時から必ず選挙に連れていき、なぜ選挙に行くのか、折に触れて伝えてきた。
子どもはその時の自分の知識に合わせていろんな質問をする。
「投票したい人がいなかったらどうするの?」
「どうせ何も変わらないんでしょ?」

私が伝えたのは、多くの大人が考えることと同じだ。
いまより少しでもよい世の中にしてくれると思う人に投票する。
消去法で誰も残らなくても、できるだけマシな外れを選ぶ。
政治に文句を言えるのは選挙に行った人だけ。

私も、子どもも、そんなに政治に関心があるわけではない。
投票に行く直前になって、慌ててマニフェスト比較表を見たりする。
投票は当たり前といえば、当たり前。
でも、同時に当たり前ではないから。

ウチの住んでいるところは、当日の選挙会場がやたら遠い。
なので、近くでできる期日前投票に行くことが多い。
「選挙行く?」と聞いたら「オレはもう行ってきた」と息子。
「え~?かぁちゃんを置いて~?」
「うざっ」

うぅ、ウザ絡みしてごめんよ。
でも、いつまでも可愛いからしかたないんよ。




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