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月謝

私が通っているレッスンでは、お月謝ではなく、都度レッスン料をお渡ししているのだけど、その封筒が汚れていたことがあった。
特別なものを用意しているわけではなく、中が透けないような厚めの封筒に入れているだけだけど、その表面に丸くシミのようなものがついていた。
先生にお渡ししたときに気づいたので取り替えることもできず。
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

少し前、Twitterでお月謝を新札で渡すかどうか、という話がバズっていた。
定期的にこすられる話なのでいつも通りの意見が出ていたけれど、受け取る先生方はともかく、渡す生徒側のほうも「新札にこだわらなくていいのでは?」という意見が多くて時代の違いを感じる。

いまは新札に換えるのに手数料がかかることもあるし、そもそも平日昼間に銀行に行くのが難しいし、新札を用意するのは大変だ。
でも、たとえ新札でなくとも、できるだけきれいなお札でお渡しするのは最低限の心得だと私は思う。
型を重んじる性格なので、レッスンの一番最初にレッスン料をお渡しして「よろしくお願いします」と挨拶するところから、すでにレッスンが始まっていると考えている。
(そのあと雑談してしまうので意味がないんだけど)
きちんとご挨拶してお願いをする、きれいなお札で渡す、という態度で敬意を払うことがとても大切なことだと思う。
先生が「Paypayでよろしく」と仰る方じゃなくてよかった。

今時といえば、レッスン料を単なる時間の対価だと言っている人がいて、それにもびっくりした。
1回30分、月3回、8000円ならお得ね、というふうに。
確かに、そうなんだけれど。

月謝、なのだ。
その月の謝礼、だ。
先生が長い間修練して習得した技術や専門知識を分けていただく、そのことに対するお礼が月謝だ。
習い事とて懐具合との相談なので料金を比較するのは当然だけど、何に対してお金を出しているのか無自覚でありたくないと思う。

先生(と呼ばれる人)の学問を修めるまでに費やした時間や努力を思う。
その人に敬意を表すとき、できることなんてほんとに少ない。
きれいなお札でそれが表せるわけではないけど、マナーとは違う意味合いが、その「お金」には含まれていると思っている。




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