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転ぶ前提

転ばないためなら、杖を100本くらい地面に突き刺したい。
いや、100回か?
ともかく、念には念を入れ、用心には用心を重ね、できうる限りリスクを排除したい。
そういう性格。

先生に、発表会までにどんな練習をしたらいいのか、どんなふうに過ごしたらいいのか訊いてみたのだけど、予想のとおり「それも含めて経験してほしい」とのこと。そうおっしゃると思いました。
不安の高い人間がわざわざ不安の高い場面に飛び込んでいくというのに、ガイドなしの怖さMAX。
どんな準備をしたらいいかわからない。
かといって特別なことをすると余計に緊張が高くなって逃げたくなるので、最低限暗譜だけは、と思う。

で、初心に帰って片手で弾いてみたら、弾けないの。
びっくりしたよね。
次の音があやふやなところがあって、一度あれ?って思うと全部自信がなくなって、残りはあと何日なのよ、って本当に焦った。
本番で頭の中が真っ白になっちゃうって起こりうるんだな。
なんとなく雰囲気で覚えたつもりになっていることを、身を持って実感した。

この前例のない、道なき道を行く感じが本当に嫌だな。
少し前はちょびっとだけ楽しみに思う気持ちもないではなかったけど、いまは早く通り過ぎてほしい気持ちのほうが大きい。
そうやって過ごすと無為に時間を使って絶対後悔するから、できるだけやれることをやろうと思う。
でも、そのやっていることが合っているのかわからない。
みんな、どうやってソリューション学ぶのかな。

人前で弾くことって、転ぶ前提な感じも嫌なんだよな。
無傷で済むと思うな的な。
転ぶことを恥と感じるか、経験と思うかの違いだね。
私はどちらかというと、みなさんご存じのとおりです。
杖はまだ持っていないんだよなぁ。
多少躓いたとしても、派手に転びたくないな。

いや、自分だけは、転ぶ前提でいたくないな。




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